グランクレスト戦記 (3) 白亜の公子 (富士見ファンタジア文庫) 水野 良 深遊 KADOKAWA/富士見書房 2014-07-19 by G-Tools |
君主テオと魔法師シルーカが仕える幻想詩連合の英傑・アルトゥーク伯ヴィラールの元に、連合盟主の公子アレクシスより君主会議開催の知らせが届く。それは「大講堂の惨劇」以降、混迷の続く連合がある決断を下すことを意味していた。大工房同盟との「和平か、戦争か」―君主会議に向け、ハルーシアへと進軍を開始する
乱世は次なる舞台へ
天才魔法師の少女と放浪の君主の少年が戦乱の中で成り上がる戦記ファンタジー
ページ数は薄くても、中身は濃かった。密度って重要だな。さすが御大、無駄なくまとまっていました。
幻想詩連合の君主が集う君主会議開催の知らせがアルトゥーク伯の届き、開催国ハルーシアへの道中にある大工房同盟の国家フォーヴィスとクローヴィスを落とすため、テオとシルーカ、そしてかつての仲間達たちが力をあわせ、再び国盗りに挑む光景に胸が高鳴りました。人々の決断により世界が大きく動く瞬間が興奮する。
契約期間を終え、ヴィラール伯との契約をあっさり解かれて内心ハートブレイクな魔法師才女マルグレットさんの乙女ちっくさが可愛いです。てっきりマザコンだと思っていたヴィラール伯と実母との思わぬ確執は痛ましい気持ちになりました。ほとんど虐待に近い扱いをされてて、それでも母親を愛せる伯爵様まじイケメン。
東側の幻想詩連合諸国の君主たちは、それぞれ個性的で結束し合ってて、楽しくて頼もしく思いました。
テオがセーヴィス軍に大歓迎で受け入れられるシーンは胸が熱くなりますね。フォーヴィス攻めで、強引に敵の君主を暗殺するミルザーに比べ、説得で無血開城を成し遂げるテオの人徳とシルーカの知性が光ります。
やっと登場した連合の盟主アレクシウスはいい人なのでしょうが、乱世の君主向きじゃないよなぁと、ちょっと不安に思ったり。マリーネさんとよりを戻したいとしても相手がもう覚悟完了してるから難しいよなぁ。
しかし、ヴィラール様は、生まれも育ちも良くて知性も才能もあって性格も良くてイケメンで部下からの信頼も厚くて婦女子にもモテモテで完璧やな! ……なんか死亡フラグびんびん立ってる気がするのは私だけか。
次の戦争でテオに聖印を託して死んじゃいそうな気がするんだけど、大丈夫かね。ようやくキャラが好きになってきたから、テオを目立たせるために死んで欲しくないのですが、マルグレットさんと幸せになってよ!