スチームヘヴン・フリークス (ガガガ文庫) 伊崎 喬助 小学館 2014-07-18 by G-Tools |
ビザーバーグで何でも屋を営むスチームシーカーコンビ、《奇術師》ニコラスと《真鍮男》ザジは、あるとき怪しげな探偵の依頼を受ける。それは、悪の秘密結社《ディスコルディア・リーグ》に関わる、とある男を保護すること。だが、ディスコルディアの遺産を狙うマフィア、世間を賑わすクラフト犯罪者とぶつかり合うことに。
道化師たちの宴
魔性の霧ミアズマによって発展した街で機械と神秘の怪人たちが繰り広げるスチームパンクファンタジー。
これは面白い。異能バトル要素もありつつ、スチームパンク特有の空想科学のぶっ飛び具合がたまらない!
正体不明の霧ミアズマをエネルギーとした重蒸気によって発展した街ビザーバーグで、何でも屋を営む主人公・ニコラスが、自分自身のルーツとなる手がかりを追って、マフィアや警察、超能力者、マッドサイエンティストたちを相手に三つ巴、四つ巴の大活劇を繰り広げる奇想天外な世界観が愉快でなりません。
市警の捜査に協力して街に蔓延る犯罪者や悪党退治を請け負うニコラスと相棒サジですが、悪人と紙一重のアウトローであるには変わりなく、人を食ったような言動を繰り返す意地の悪さがイイキャラしてる。
莫大な利益を産む科学技術を独占する狂科学者集団『ディスコルディア・リーグ』の手がかりを握る男ハリーを追いかけ、マフィアにマッドサイエンティストに怪しげな連中が次々と絡んでくる展開が飽きさせない。
ミアズマによって超能力に目覚めた正義のミスティックチーム・トライデントの女の子たちと犯罪者たちを奪い合いながらも次第に騒動の核心に近づいていって、敵も味方も善人も悪人も、街中の人々を巻き込んで膨れ上がっていく大騒動と大混乱のスペクタクルショーが痛快です。蒸気機関で動く特殊な装備を使い、戦闘機械や兵器の数々とぶつかり合う姿だけでもメカフェチにとってはわくわくが止まらず、夢が広がりますね。
味方はさっぱり信用できないロクデナシばかりだし、敵はコミカルで頭のイカれてるファンキー野郎ばかりだし、その双方が化学反応を起こして周囲の迷惑顧みず巻き込んで盛大に大爆発してるから面白いんだ。
ニコラスとザジの正体や、『ディスコルディア・リーグ』の消失の謎、そもそも全ての元凶であるミアズマが発生したことからして今だ不明で、それだけに設定が奥深く自由度が広い。次の展開が気になります。