クロス×レガリア女王の領域 (角川スニーカー文庫) 三田 誠 ゆーげん KADOKAWA/角川書店 2014-03-29 by G-Tools |
リコが姿を消してから間もなく、ナタと馳郎は白鳳六家の重鎮集う「六家総会」に列席していた。馳郎が白翁と認められるための会議は、かつての白翁後継者の乱入により戦況を大きく歪められる。先手を打つは月白弦摩。鬼仙と戦を起こすか否かを切り出す
世界を喰らう鬼子母神
吸血鬼の少女と出会った学生ボディガードの少年のボーイミーツガール。
くぅ……ヒロインたちが不憫すぎる。戦いや立場を忘れて、もっとイチャイチャさせてあげてよぅ。
にわかに迫った大陸の鬼仙と日本の"おに"たちの全面戦争。リコの不在ながらも白翁である馳郎が決断を迫られるなか、鬼仙の重要人物の突然の来訪によって、予想外の窮地に陥る急展開にやきもきさせられました。
ナタや蓮花、馳郎に思いを寄せる少女たちが無益な争いに巻き込まれていく姿がやるせなかった。
白鳳六家の長たちが集う「六家総会」で、各家の当主に加え、灰岡ジンや空隼人、エイジャなど、これまで敵対し合った者達が一堂に会する場面は、何もせずとも緊張感が漂い、なかなかカオスな空間でしたね。
鬼仙との争いの可能性を知らされ、その火種となりかねない鬼仙の兵器であるナタやウーの扱いを巡る議論上で、彼女たちをかばう馳郎とジンが姿が勇ましくて格好良かった。エイジャはもう少し申し訳ない顔しよう。
白翁としていまの自分に何ができるのかと馳郎が考え始めた矢先、予想外のラスボス級の敵の出現に先手を取られて、戦いの準備も心構えもないままバトルにもつれ込み、事態に翻弄されていく姿が見ていられない。
口に出せずとも恋慕う馳郎を逃がすために自ら犠牲となっていくナタや蓮花の決意が胸を締め付けられた。
そしてなにより、自分が守ると約束した少女たちとの誓いを果たせなかった馳郎の後悔や無力感が切ない。
何故争わなくてはいけないのか、それには言葉や理屈では説得することもできない生存競争の概念が根底にあって、これまで戦っていきた敵とは違う意味で、人として話の通じない虚しさを味わいますね。
先代白翁、未来を読んでいたはずなのに選んだ手はノープランかい! 完膚なきまでに敗北した馳郎、切り札を封じられ追い詰められる"おに"たち。ここからどうやって挽回していくのか……。