神滅騎竜の英雄叙事詩(サーガディア) (このライトノベルがすごい!文庫) 湖山 真 夕仁 宝島社 2014-03-10 by G-Tools |
二百年ほど前から、毎週「災曜日」に異形の巨人「災神」が現れる。災神は都市を襲い、建物を破壊し、人々を殺戮するが、日付が変わった瞬間に靄のように消え失せてしまう。災神に立ち向かうことは人間にとってほぼ不可能だった。だが唯一、竜と契約して「竜騎士」となった者だけが、神を斃せる力を行使できた
その槍は神を弑す
竜に乗り空を駆け、異形の神と戦う若き騎士たちの戦いを描いた異世界ファンタジー。
ハーレム部隊である。しかも、空飛ぶ飛竜に乗っているのになんつーミニスカ! 素晴らしいぜ!
人類を脅かす怪物「災神」と戦う騎士でありながら「逃げ腰班長」と揶揄される主人公・コーキが、「災神」から街と人を救うため、仲間と共に命をかけて世界の不条理に立ち向かう戦いぶりに胸が熱くなりました。
絶望感溢れる世界でも、喜びと希望を持って生きている人々の暮らしぶりが救いになりました。
竜と契約した特別な騎士「竜騎士」でありながらお飾りの英雄として王都での安穏とした暮らしを嫌い、あえて臆病者の汚名をかぶり、辺境都市に滞在して「災神」を狩り続けるコーキのあり様が格好良い。
アネットやティナといった美少女たちに囲まれているところに、フレデリカという幼なじみまで部隊に加わり、世界観から漂う悲壮感を吹き飛ばすようなラブコメを展開してくれていて微笑ましかったです。
人々は必死に生きて、コーキたち騎士はその暮らしを守るために命をかけているのに、「災神」を崇め、都市に災害を呼びよせるカルト宗教の信者たちの自分勝手で不条理な論理に徒労感と不毛感を抱きますね。
「災神」に対抗する唯一の手段にして、長い歴史の間、人類に寄り添って共存してきた友である竜たちが、切羽詰まって精神的に追い詰められていたとはいえ、人間に裏切られてしまう姿が哀れで仕方がない。
コーキとフレデリカのいちゃいちゃぶりが目の毒ですな。もうお前ら結婚しちゃえよ!
「災神」とはいったいなんなのか、幼い頃に「災神」に連れ去られたフレデリカに何があったのかなど、気になる幾つかの事柄が結局、明かされぬままでしたが、それよりも部隊内の恋愛模様の今後を眺めていたいですね。いやあ、みんな初々しくて可愛らしい修羅場だこと。もうちょっとキリのいいところまで続いて欲しいな。