ダフロン

2007年04月17日

書物狩人/赤城毅

4061824872書物狩人
赤城 毅
講談社 2007-04-06

by G-Tools

【書物は知識を伝える。書物は感情を豊かにしてくれる。書物は遠い異国のことを教えてくれる。そして書物はときに人を殺し、一国の政治を揺るがすこともある。】

書物とは、歴史の証人也

一冊の書物をめぐって繰り広げられる壮大な歴史ミステリー。
政府や企業、好事家からの依頼を受け、合法非合法を問わず標的の書物を入手する闇のプロフェッショナル『書物狩人』。
古書に秘められた歴史の真実。それに踊らされる現代の人々。下された依頼の裏に隠された真相が暴き出される、どんでん返しが見事な歴史ミステリをあつかった短編集です。

一見して気障な白髪の青年、ナカライ助教授。
その正体は凄腕の『書物狩人』、ル・シャスール。
決して善人なんかではないけれど、貴重な書物が失われゆくことを心の底から憎む、書籍にかけたクールな情熱。
そして自らの価値観、『書物狩人』としての美意識に従って行動する彼の仕事振りには共感しちゃいましたね。

N.Y.の古書店から強奪された教科書。
イヴァン雷帝の書庫から持ち出された写本。
ナポレオンが死の間際に読んだとされる小説。
古代中国の記述が記された漢籍。
物語の重要な鍵となる本たちも立派な登場人物です。

それぞれ単なる稀覯本としての価値以上に、ひとつの国家の政治を揺るがしかねない威力が秘められているのですが、
なによりも書籍にそんな力を与えてしまった人間たちの複雑な歴史の流れというやつに想いを馳せますね。
少なくとも昭和の話だと思ってたのに、携帯電話が普通に登場してビビッた! いつのまにか時代観が狂わされてた!w

あまりの設定の厚み、歴史の深みに圧倒されます。
これぞ赤城節。いつにも増して作品の完成度が高い。
いつも参考資料を巻末に記載しているけれど、今回は山のように積んでますね。これだけの作品にまで磨き上げるのに、どれくらい試行錯誤を重ねたことか想像もつきません。

我こそは書物中毒と自負されるみなさま、必読のバイブル。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(4) | 講談社ノベルス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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