ダフロン

2014年03月06日

メサイア・クライベイビィ 救世主はよく泣く/八針来夏

4086307758メサイア・クライベイビィ 0救世主はよく泣く0 (スーパーダッシュ文庫)
八針 来夏 黒銀
集英社 2014-02-25

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人類が重力テクノロジーを発達させ広大な宇宙にその生息圏を広げて数千年。銀河の侵略者「帝国」により滅ぼされた故国の奪還を目指す姫君リューン=サデュアルは、ある少年と出会う。少年の名はヒノ=セレス。後に銀河中で“泣き虫な救世主”と呼ばれることになる、人類最強の“重力制御能力者”だった…!

 泣き虫英雄を愛した王女

 泣き虫な救世主と巨乳姫君が贈る、超ド級スケールの重力バトル新世代スペースオペラ

 メインヒロインは、ま た 巨 乳 か ! しかし、貧乳娘率が半々なのは、えっ、作者大丈夫?
 生まれつき"重力使い"として破格の力を持っていたが故に孤独な主人公・セレスが、彼を理解して愛してくれる人々と出会い、絆を知り、愛を知り、銀河を支配する帝国の"支配侯"の傲慢を打ち砕く光景が痛快でした。
 テーマは"愛"。愛がこの世の不条理からすべてを救う! 終始一貫した純愛の物語が胸を打ちました。

 死刑囚だらけの流刑地で生まれ育ち、周囲は自分を殺しに来る敵だらけという環境で育ったセレスが、バリルという恩師を得て、ようやく人として当たり前の愛と温もりを知る姿がなんとも哀れで目頭が熱くなります。
 レジスタンスとして帝国と戦うリューン、ミカ、アストーら、バリル先生に学んだ弟子たちと出会い。慣れない人間関係に戸惑いつつも、優しい人々に受け入れられていくところが微笑ましくも涙腺が緩みっぱなし。

 最初はバリル先生の遺言に盲目的に従っているだけだったセレスが、リューンの嘆き悲しむ姿を見て、自分の意志で彼女を守り、帝国と戦う理由を見出して、命をかける覚悟を決めた思いは、まさしく純愛。
 自分に与えられた多くの人々からの愛を、本当に自分の命を捨ててまで返そうとするセレスの一途さが泣ける。『化け物』といわれようとも己の中にある愛を貫くために宇宙へと飛び出すセレスの勇姿に涙しました。

 セレスのことを偏見で見ないリューンの天然ぶりと育ちの良さが愛らしくて、いいカップルでした。
 一番の好人物はバリル先生。帝国に一矢報いる最終兵器としてセレスを育てていたはずが、本当にセレスを愛してしまって、自分の残りの人生のすべてを費やして愛を教える。教育者はかくあるべきだと思います。
 『泣き虫』は続くのか、それとも『童貞』に戻るのか、どっちでもいいからこういうのもっと書いて欲しい。
posted by 愛咲優詩 at 00:00 | TrackBack(0) | 集英社スーパーダッシュ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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