エーテル//ギア 魔術機鋼のオッドガルド (MF文庫J) 小山 タケル シロウ KADOKAWA/メディアファクトリー 2014-02-22 by G-Tools |
人と魔術師との戦争“大搾取”により魔術師の文明が滅ぼされてから三十年が経った。企業に雇われて“エーテルギア”を回収することを副業としている高校生、錺矢水最は、後輩の三崎瑠衣に心配されながらも、人が作り上げた最強の兵器“人工魔女”のソラと共に依頼をこなしていくことで生計を立てていた。
魔女の願った遺産
最強の兵器"人工魔女"を従えた少年が世界の人と魔術師、社会の在り方を変えるサイバーマギクス。
主人公とメインヒロインさえいなければ、もっと面白いんじゃないだろうか。
魔術師の作りし遺産"エーテルギア"の回収を仕事とする主人公・錺矢水最が、都市に隠された謎の遺産"五帝の骸"を狙う魔女エルのテロ事件に遭遇し、人工魔女ソラと共に都市を守るために立ち向かう姿が燃えました。
世界観はとても良く出来ているサイバーパンク、なんだけれど大部分が消化不良なのが残念でした。
戦争で魔術師から奪った"エーテルギア"と呼ばれる兵器を解析することで、普通の人間でも扱える魔法製品を生み出し、敵である魔術師を捕らえ人材資源として発展してきた都市のおどろおどろしい感じが好きです。
当然、恨みを抱く魔術師からテロの脅威に晒されていて、都市を運営する企業たちは、自分たちで人工生命である人工魔女(トライフルズ)を作り出し、毒を持って毒を制するえげつなさもディストピアめいててよい。
世界観はとても好みなんだけれど、主人公のキャラクターがするっと受け入れられない。どうして企業の手先となって人工魔女のオブザーバーなんかをやっているのかとか、瑠衣となにがどうして今のような関係になっているのかとか、人類の敵である魔女に甘いのかとか、性格や行動原理を読者に納得させるだけのバックボーンが満足に描かれていない。次で描かれるのかもしれないが、いやそこ1巻でまずやるべきとこでしょう。
主人公の存在意義がわからん。いろいろ動いていたけれど、ソラに命令してるだけで満足に活躍してない。
メインヒロイン(?)のソラも可愛いというか、幼いだけというか、正直やかましくて面倒くさい。
瑠衣のほうが主人公として格好良くて相応しい気もするし、むしろ敵であったはずのエルのほうが可愛いくて、萌えたというのはどうなんだろうか。キャラクタープロットをミスってるように思うのだけれど……。