ダフロン

2014年02月27日

人間の分際で悩むな 超能力者に放課後を捧ぐ/タカハシヨウ

4040663195人間の分際で悩むな 超能力者に放課後を捧ぐ (MF文庫J)
タカハシヨウ 竜宮ツカサ
KADOKAWA/メディアファクトリー 2014-02-22

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人間は空を飛べない。それは誰に習うでもなく自然に悟ること。しかし園村祥は出会ってしまったのだ。編入初日に絡まれた美少女・皐月坂かさねは自称超能力者。さらに「世界平和」を目論む謎の団体「かさねソリューションズ」のメンバーに勧誘される祥だったが!?

 超能力で快刀乱麻を断つ

 世界平和を掲げる超能力集団の少年少女が繰り広げる予測不能のサイキック系日常コメディ

 日常系のコメディとみせかけて、人間再生青春ドラマやった。ちょっとイイ話だったとか思っちゃったよ。
 高校編入早々、自称超能力者の美少女・皐月坂かさねに超能力者だと決めつけられた主人公・園村祥が、超能力で人助けをする謎の集団「かさねソリューションズ」の面々に絡まれ、強引な勧誘に逃げまわったり、破天荒な彼らに振り回されていくうちに、誤解から失われかけていた兄弟の絆を取り戻していく姿が心温まりました。

 超能力を使って人間関係を修復する『かさねソリューションズ』を立ち上げたヒロイン・かさねの「平凡な人間が悩むんじゃない」と、上から目線の優しさがぶっ飛んでる。超能力者仲間として勧誘された祥にしても心当たりがなく、『かさねソリューションズ』のメンバーも超能力者といいつも、その能力はどいつも特技や性格の域を出ない胡散臭いニセ超能力ばかりで、そんな中二病集団に気に入られてしまった祥が哀れでした。

 強引な勧誘が祥を苛立たせて逆効果だったり、読んでいる我々読者にしてもコイツラ何やっとんじゃ笑えねーぞ!と思っていたのだけれど、実はすべてに理由があって、後半のネタばらしにはやられた。
 仲違いをしたままの祥と双子の弟・香との関係を察知して、その原因となった兄弟喧嘩の謎を解き明かすためにメンバー全員で一芝居をうって真相を探り、誤解に気づかせて兄弟を仲直りさせる計画が見事でした。

 たとえ、その人に嫌われることになっても本当に相手のためになることをする、やり方は不器用で強引なんだけれど本当の優しさを持った自称超能力者たち、やるじゃーんとちょっと感心しましたね。
 一部、まともに働いていない賑やかしだけのメンバーもいたのだけれど、活躍は次回かな。けれどちゃんと続編あるのかな……じっくり読めばいい話だけれど、インパクトがイマイチで地味なのが惜しい。
posted by 愛咲優詩 at 00:00 | TrackBack(0) | MF文庫J | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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