ダフロン

2014年02月14日

王手桂香取り!/青葉優一

4048663178王手桂香取り! (電撃文庫)
青葉優一 ヤス
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-02-08

by G-Tools

上条歩。中学一年。三度の飯より将棋好き。ひそかに憧れる人は将棋クラブの主将、大橋桂香先輩。そんな歩のもとに突如駒の化身を名乗る美少女たちが現れる。人知を超えた将棋の強さをそなえる彼女たちの指導のもと、歩は棋力をめきめき上げていく。歩は桂香先輩とともに団体戦の大会で頂点を目指すべく奮闘する。

 将棋の女神は、恋の女神

 片思いの先輩のために強くなることを目指した少年の恋と将棋にかける青春ストーリー。

 将棋クラブの先輩・大橋桂香に憧れる主人公・歩が、祖父から譲られた将棋の駒が変化した「駒娘」たちの指導のもと、団体戦の大会でライバル打倒を目指して、努力を積み重ねて腕を上げていく姿が燃えます。
 ルールは誰でも知っているけれど、どこまでも奥の深い、勝負の世界に引き込まれました。

 将棋は大好きだけれど実力はそれなりという歩が、将棋の駒の付喪神・「駒娘」たちと出会い、プロ顔負けの腕前を持つ彼女らに罵られ、尻を叩かれ、慰められつつも平身低頭教えを請う素直な姿勢が応援したくなる。
 少しづつ現れてきた努力の成果を桂香先輩に認められ、家に招かれてマンツーマンの特訓をしたり、アマチュア大会に二人で参加したりと、ひたすら将棋漬けだけれども急接近していく二人の関係が初々しい。

 将棋に強い人は桂香先輩のようにいい人ばかりでなく、性格や態度の悪い相手もいて、勝てば相手に罵詈雑言を浴びせかけたり、負けても認めずに開き直ったり、将棋への愛情が感じられない姿には苛立ちますね。
 強くなるため、桂香先輩のため、強敵の傲慢を正すため。いくつもの理由を胸に抱き、必殺の戦法を磨いて臨んだ試合は、単に棋力だけではない、どれだけ勝利に食らいつけるかの精神力の勝負で手に汗握りました。

 精神攻撃は基本。ですが、駒娘たちが試合前にやった挑発はあんまり褒められたことじゃなかったかな。ゴリ押しで強引な気がしてもにょった。もうちょっと読んでてすっきりする方法があったんじゃないかと思う。
 こういう部活ものだと作者の実力がどの程度か議論になるものですが、メインは登場人物のドラマだと思うので、そこをちゃんと認めて欲しいですね。次回は桂香先輩のキャラがもっと掘り下げられますように。
posted by 愛咲優詩 at 00:00 | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。