![]() | 韻が織り成す召喚魔法 ―バスタ・リリッカーズ― (電撃文庫) 真代屋秀晃 x6suke KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-02-08 by G-Tools |
カタブツ生徒会長・音川真一の前に現れた、クソ迷惑な美少女悪魔・マミラダ。彼女と無理矢理契約を結ばされてしまった真一は、とある能力を手に入れた。それは相手を強制的にラップバトルに引きずり込んで、敗者を支配する魔法。心の内に秘めた暗黒面を吐き出す真一のラップは、学院の不良たちに襲いかかる!
カタブツラップで念仏凡夫
カタブツ生徒会長と迷惑悪魔の織り成すマジカル×ヒップホップコメディー
なんだこの闇のゲー……ヒップホップ。優等生と不良たちのカオスな召喚バトルをチェケラッチョ!
校則の守護神と呼ばれるほどの真面目生徒会長・音川真一が、ひょんなことから美少女悪魔・マミラダと契約してしまい、敗者を支配できる魔法のラップバトルに挑んでいくドタバタ過程が楽しげで和みました。
どうしてよりによってラップを題材にしたのか。こういうバカバカしい作品が読みたかったところです。
自他ともに品行方正、清廉潔白を重んじる生真面目すぎる生徒会長・真一が、空気を読まないフリーダムなラップ好きの美少女悪魔・マミラダに振り回され、嫌々ながらもラップの世界に踏み込んでいく姿が可笑しい。
マミラダの所為で、ことあるごとに騒動に巻き込まれ、大嫌いなラップに頼らざるをえない状況に陥り、普段から心の奥に溜めていた悪態や鬱屈をラップで吐き出して自我を押し通していく光景がぶっ飛んでて痛快!
不良の溜まり場ヒップホップ研究部を潰そうと、ラップバトルを挑んで勝利したものの、条件に解散ライブの開催を約束させられ、主催者になってと、ラップと離れるつもりが泥沼にハマっていく義理堅さが笑える。
水と油だった両者の間に次第に仲間意識や奇妙な友情が生まれて、それでも素直にマミラダや不良たちを受け入れられない真一の面倒なカタブツぶりがもどかしくもあり、真っ直ぐな若さが眩しかった。
カタブツであるあまりに他人と衝突を起こしてばかりだった真一が、ラップバトルを通じて他人と本音でぶつかり合うことで角がとれて丸くなり、態度や考え方に柔軟性を得ていく成長が熱く、爽やかでよかったです。
音楽ものというと、その旋律を小説などの文字媒体で表現するのは難しいと言われていますが、ラップだと脳内再生が簡単なので気軽に読めますね。よくそこに気づけたなぁと思います。発想力がヒップホップでした。