魔物ワールドは二周目令嬢が作ったのだ! (集英社スーパーダッシュ文庫) 葉巡 明治 マルイノ 集英社 2014-01-24 by G-Tools |
リテトエト嬢は、まだ背も胸も成長途上の、小さな女の子──そして没落貴族!! ある日、突然屋敷が焼き討ちに遭って、逃亡生活を強いられる。そして、生き延びた先の孤島で魔物たちに出会い──!?
魔物たちとピクニックへ行こう
無人島に流れ着いた没落貴族のご令嬢が魔物たちとの生活をスタートさせるセカンドライフファンタジー。
リテちぃ可愛い。魔物たちも可愛い。ぼくもこの島の国民になりゅー。けれど食人癖あるよなぁ、怖っ。
家が没落した貴族令嬢・リテトエトが、追われるままに魔物だらけの島へと流れ着き、アドバイザーとして彼らと過ごすうちに、誰かに必要とされる喜びを知り、別の生き方を歩み出していく姿が素敵でした。
奇妙で不気味な、それでいてどこか心温まる不思議な魔物たちとのふれ合いに和みました。
人に嫌われる貴族を演じていたのは、幼いリテトエトが貴族の仕事をそういうものとして誤解していただけだと思うのですが、没落したことで恨まれるために努力するという不毛な境遇から抜け出せたのは皮肉ですね。
能天気な魔物たちに拾われ、持ち前の知識を活かし彼らの生活を向上させるアドバイザーとして働き始めるものの、個性もバラバラでマイペースな彼らとの付き合い方に四苦八苦する光景が微笑ましい。
それでも次第に魔物たちとも打ち解け、人間ではない人喰いの魔物たちだけれども、集団の中に受け入れられて、誰かに奉仕し感謝される喜びを噛みしめるリテトエトが健気すぎて思わず涙がこぼれそうになりますね。
しかし、魔物たちの島の存在が、海を越えた陸地の人間たちに伝わってしまって、艦隊を組んでやってきた軍隊と島の魔物たちとの争いを止めるために、生贄として殉じる自己犠牲が切なくて心をかき乱されました。
リテトエトは貴族モードで罵られてもよし、逆にメイド服を着せて奉仕されて愛でてもよし、両極端な二面性が可愛いくてたまりませんわ。セバスはいいポジションにいるよなぁ。おいちょっとそこ代われください。
ゆるふわで童話のような世界観が楽しかったのですが、途中から人間と魔物の対立が始まって空気がギスギスしちゃったので、人間レスがよかった。もうちょっと魔物の島が発展していく過程をみたかったです。