男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。 (1) ―Time to Play― (上) (電撃文庫) 時雨沢恵一 黒星紅白 KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-01-10 by G-Tools |
僕は高校生にして電撃文庫で作家デビューを果たした。執筆のため1年間休学した後、転入した高校で出会った彼女・似鳥絵里は新人声優で―僕の作品のアニメの出演者だった。そんな僕らが会話を交わす唯一のチャンスは毎週木曜日、アニメのアフレコに向かう特急列車で
走馬燈はめくるめく
高校生ライトノベル作家と女子高生声優の交流を描いた奇妙な物語
タイトルがめちゃめちゃ長いので勝手に『れどいる』と略しているぜ、これは流行る(*´ω`*)
男子高校生でライトノベル作家をしている主人公・"僕"と、声優をしているクラスメイトの女子・似鳥絵里が、アニメのアフレコに向かう特急電車内で、いかにして"僕"がライトノベル作家になれたのかを語っていく物語なのだけれど、一般人とは違う思い出話をしていくうちに掘り下げられていくキャラクターが興味深かった。
先生と呼びつつも声優ならではの演技力で"僕"を翻弄する絵里さんが悪女っぽくて素敵です。
幼い頃から本好きだった少年の"僕"が、一念発起して小説を書き始め、七転八倒しながらラノベを書き上げて受賞に漕ぎ着け、ラノベ作家としてデビューし苦労を味わっていくお話が初々しくて微笑ましかった。
転章するといつも首を絞められてスタートというのが気になるが、どうしてそうなったのか、下巻に期待。
本の登場人物を動かして様々なストーリーを妄想する遊びは私もやりましたね。というか、今でもやっている。このキャラはこういう言動が相応しいとか、このイベントではこういう選択肢を選んだ方が楽しいとか、どうすれば作品がより面白くなるかをいろいろ考えますね。そして自分ごときの想像力では、これ以上にはどうやっても面白くできないと確信した作品が傑作だと思っています。ラノベ読者はみんなやってるんじゃないかな。
この話は、ほぼ主人公の過去エピソードばかりで、アクションもテーマも(いまのところは)薄いですけれど、キャラクターの掘り下げとしては何より大切なことをいつも時雨沢恵一は自然にやっています。
私も下読みして作家志望の書いた原稿読むことありますけれど、キャラが浅い。なんでかというと個性的なキャラを描こうとしているんだけれど、どうしてそういう性格に育ったのか、過去と過程が抜け落ちている。
生きた人間なら絶対にそれまで成長してきた思い出や過去があるはずなんですよ。過去によって現在の性格が定まるんです。それがない主人公は設定上は高校生でも、生まれたばかりの赤ん坊と同じです。異能が使えるとか、女子にモテモテだとか、それは後天的な後付けですよ。そんなものでキャラを描いたとはいいません。キャラを描く時は、そのキャラの人生を描きなさいと言いたい。それなら読者もキャラを掴みやすいから。
しかし、作家志望向けのためになる話のようで全然ためにならんな。ハウツー本を期待しないほうがいいですね