ダフロン

2014年01月04日

トゥルークの海賊 3/茅田砂胡

4125012733トゥルークの海賊3 (C・NOVELSファンタジア)
茅田 砂胡
中央公論新社 2013-12-19

by G-Tools

人質をとった偽シェンブラック海賊団に対し、トゥルーク政府は人質の命が最優先であることを表明。そのため連邦軍の討伐艦隊はカトラス星系外縁部に待機せざるを得なくなった。トゥルークの巧みな交渉のもと、資材を積んだ大型コンテナ船と人質とが順調に交換され最後の一隻となった時、なぜかコンテナ船が一斉に消失し

 地獄の釜の蓋が開く

 女王と海賊王。常識外の怪物夫婦が繰り広げる痛快SFスペースアクション

 海賊の時間だ! 古き良き時代の伝説の男たちの意地と誇りが渋くて格好良さにしびれる。アニキ!
 二代目シェンブラック海賊団を名乗る者達によって封鎖状態に置かれたトゥルークで、誰もが緊張感漂う人質交換の最中、次々に巻き起こる異常事態の連続が読者の度肝を抜き、豪快な展開が飽きさせませんでした。
 表題の「トゥルークの海賊」が誰を指したものだったのか、理解したときはニヤリとせずにはいられない。

 トゥルークをこっそり抜け出し、麻薬製造の追跡調査を進めるゴジラ夫妻は、まさに捜査員顔負けですね。しかし、彼ら自身が行動しなくとも手がかりだけ渡して情報局の人たちにやらせればいい気もしますけどね。
 トゥルーク側も、大人しく海賊の言いなりになるだけではないだろうなと期待していただけに、エルヴァリータさんの巧みな交渉術からの華麗なガンアクションに改めてこの世界の女性のたくましさを思い知らされる。

 人質と物資の引き渡しを連邦政府の討伐艦隊が見つめるなか、偽物を退治に本物のグランドセヴンの生き残りが現れ、憧れの存在を目の前にして声を掛けたくても立場が許さない軍人さんたちの懊悩が可愛かった。
 ケリーにとっては懐かしい顔との再会なのだけれど、かつての同胞たちの思わぬ現在の姿に悲喜こもごもで、老いてなお伝説の男に相応しい貫禄は偽物なんかとはまるで違う迫力と魅力があって男が惚れる男ですねぇ。

 トゥルークを襲う未曾有の天災に対し、まるでちょっとしたお祭りが来たかのように、あっけらかんと対応してやり過ごしてみせる人々やお坊さんたちに驚く連邦政府の高官たちの唖然とした様子がこれまた可笑しい。
 ライジャの姉エレクトラの結婚騒動も相応のオチがついて、彼女には災難だけれど、両親への反感を見直して、男を見る目を養うきっかけになればいいと思います。さて次はまた課外授業の方かな?

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | C★NOVELS FANTASIA | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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