神様のお仕事 3 (講談社ラノベ文庫) 幹 蜜桃 まむ 講談社 2013-11-01 by G-Tools |
黒須神社に鎮座していた神・ククリ姫が真人の前に現れた。彼女は力を失っただけで、神社を去ったわけではないと言い、ククリ姫は自分の完全復活のために祭りを行ってほしいと真人に懇願する。だが彼女が戻れば真人はどうなるのか、真人自身はどう思っているのか。さまざまな不安を抱き千鳥の心は揺れ動く。
幸せを見守るお仕事
神様になってしまった少年と世間知らずな天才巫女が繰り広げる人助けラブコメディ。
やたら人間臭い神様たちが可愛いこのシリーズも最終巻。真人と千鳥のもどかしい恋愛模様もついに決着。
黒須神社にいた本来の神・ククリ媛の神力を取り戻すため、黒須神社でお祭りを行うことになり、真人や千鳥たちが準備に奔走して、人間、妖怪、神様が一緒になって作り上げる祭りの光景が微笑ましくて和みました。
萌えて癒やされる良作だったのに、これからこのヒーリング成分をどこで補充すればいいんだもう泣きそう。
神様としての自覚と自立心が芽生え始めた真人と、依存心と独占欲の強い千鳥との関係がじれったい。
自分のことは自分でやろうとする真人ですが、千鳥は彼に必要とされていないと誤解してしまって、それもこれも千鳥に相応しい神になろうとしての男の意地という奴なんだけれど、千鳥さんにはまだ早かったかー。
そういう不器用な男心を理解して受け入れてくれる女性こそ、『いい女』というんですけどね。
長年、休止していた黒須神社の祭りを再開するにあたり、夜店の手配や宣伝など、実現までの課題をひとつずつクリアしつつ、馴染みのある近隣の神様や妖怪たちへも参加の誘いをかけて、徐々に祭りの規模が大きくなって、周囲の期待と熱気が盛り上がっていく展開に胸が躍ります。人間も妖怪も神様も、自由に祭りの空気を満喫してて、読んでいて私もそこに混ざりたいと思いました。ああ、ウツロたんにチョコバナナ舐めさせ隊。
目的のためなら手段を選ばないと恐れられるククリ媛の本当の目的は、自分の子孫である千鳥を想う愛に溢れて、神様だとか、巫女だとか、人間だからだとかそういった枠組みに捕らわれない視点の広さを感じました。
真人と千鳥が結ばれるためには、その視点にたどり着く必要があったんでしょうね。その視点から人々や神々を見守る者の優しさも感じました。っていうか、それって作者じゃね? 次回作を期待しています。