アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者8 (講談社ラノベ文庫) 榊 一郎 ゆーげん 講談社 2013-11-01 by G-Tools |
オタク文化養成学校では最近、魔法でフィギュアを動かす遊びが大人気。それを見て、また、ドワーフの大工房での超絶的な技を見学して知識を深めた慎一は、皇帝・ペトラルカのためにと、いまだかつてエルダントには無かった超オタク的新技術の開発を決意する。
心を揺さぶる文化活動
異世界に萌え文化を伝えるため、現地に派遣されたオタク少年の繰り広げる異世界ファンタジー。
ロリ皇帝の等身大フィギュアだと、けしからん! 私にもひとつよこせ下さい!
バハイラムや憂国士団に対し、神聖エルダント帝国でもにわかに国防意識が芽生え始め、慎一にも<フェイドラ>の量産化計画や皇帝ペトラルカを守るための重大な極秘任務が課せられ、あちこちで忙しく奔走する姿に、ああ、それだけ周囲から頼られる存在になったんだなぁと改めて成長ぶりが微笑ましくなりました。
新しいものに利用価値を見出し、取り入れようとするエルダント側の変化に慎一の影響を感じますね。
最初はハリボテの飾りとして作り出したフェイドラが、他国への威嚇に、反体制側への牽制にと流用され始めて、ドラゴン型と人型の変形機構とか現実ではイロモノでしかないんだけれど、格好良いからちかたない。
この作品は、ファンタジーであるにも関わらず理由付け、リアリティ付けができているのがいい。
ペトラルカの影武者として、彼女そっくりの等身大関節人形を作り上げて、魔法で動かす適役の魔術師も見つけてきたまでは順調だったものの、その魔術師ロロンには演技力と表現力が欠けていて、メンタルに原因がある彼女を更生させる方法に悩まされるんだけれど、そんな慎一を励ますヒロインたちの信頼が心温まる。
唐突に最終回みたいな緊急事態が起こって何事かと思ったが、無事に済んで安心しました。
慎一ハーレム化計画も着々と進んで……違う、異世界での居場所が出来て、周囲とも馴染み、今後このまま異世界に残るのか、地球に帰るのかと選択をつきつけられたとき、どちらを選ぶのか、その伏線でしたね。
9、10巻のプロットはできているとのことですが、ついにバハイラムとの戦争が始まるのか、それとも日本政府がまたなにか余計なちょっかいを出してくるのか。アニメも開始して、どっちも楽しみです。