![]() | 魔法学園(マギスシューレ)の天匙使い (このライトノベルがすごい! 文庫) 小泊 フユキ 如月 瑞 宝島社 2013-10-10 by G-Tools |
スプーンを使った魔法「スプーン天匙」の伝達者であるブルンは、ブロックス魔法学園の生徒。学園での成績は第6位だが、魔法のマイナーさと地味さで影の薄い存在だった。そんな彼は強くなるために友達3人と様々な計画を立て、間近に迫る『闘宴会』で勝ち進もうと意気込む。しかし学園には不穏な影が忍び寄っていた。

大切な人を"すくう"魔法
スプーンを使った魔法の伝承者である少年が、流派を広めるためにエリートに挑む学園ファンタジー。
凡人の執念、天才を超える。スプーンをバカにするなかれ。スプーンを笑うもの、スプーンに泣く。
スプーンを使った魔法『スプーン天匙』を修めた主人公・ブルンが、自分の流派を広めるべく魔法学園のエリートたちが競い合う一大イベント『闘宴会』に挑み、その大会の裏に潜む学園と街を狙う陰謀から友と一般市民を"すくう"ため、その身と命をかける姿に魅せられました。どんなにダサくても頑張る男はかっこいい。
千人以上いる魔法学園の生徒の中で、総合成績6位という上位にありながら、スプーンを使う『スプーン天匙』という、マイナーで地味な魔法のせいで知名度はほぼゼロというブルンですが、これがダサかっこいい。
人々を救うことを理念とする『スプーン天匙』に心酔し、伝承者として流派を広めるために日夜研鑽を積む努力家で熱血漢な少年なのだけれど、ときにその努力が見当違いな方向で発揮され、空回りする姿が可笑しい。
禁断の魔導書を悪用し学園を狙う魔法使い・サディスによって変事が続き、さらに生徒の上位陣の中にも裏切り者がいて、イベントの最中、集まった人々を襲う惨劇からスプーンを駆使して"すくう"光景に目を見張る。
ブルンより上の5人の上位陣の強さは完全に別格の天才で、どんなに努力を重ねても凡人であるブルンには本来なら手も足も出ない存在なのですが、彼なりの戦い方で格上の相手を圧倒する迫力に心が震えました。
「何故、スプーンなんだ?」という誰もが思う当然の疑問にも、しっかりとした理由付けがあって、伊達や酔狂じゃない、超実戦主義の『スプーン天匙』の強さ、そしてその使い手たちの覚悟と決意に唸らされる。
これはあらすじで判断して侮って読むと後悔しますよ。私はバカにしてた。すみませんでしたー(土下座)
ラブコメや友情青春モノとしてもキャラが眩しく活き活きとしてました。続編に期待。