黒き英雄の一撃無双(ワンターンキル! )1.受難の女騎士 (HJ文庫) 望公太 夕薙 ホビージャパン 2013-09-28 by G-Tools |
対魔族用の魔法使いを育成する学園で序列一位を誇る才媛・久遠院雪羽は、圧倒的強さの『竜』を前に絶体絶命の危機に陥っていた。しかし颯爽と現れた見知らぬ男・麻上悠理が竜をたったの一撃で倒してしまう。雪羽は彼の姿を追うが、そこで見たのは「D級」の烙印を押され、魔法の追試験で悪戦苦闘する悠理の姿だった。
正しい最強の戦い方
魔族に対抗する魔法使いを育成する学園で世界最強の少年が織り成すネオヒロイックバトルエンタメ
ひどい主人公無双を見た(褒め言葉) ライトノベルの主人公無双もここまで極まると笑うしかねーな。
過去に魔力が暴走し世界最強の存在になってしまった主人公・悠理が、強さを追い求める天才少女・雪羽と出会い、魔法使いが集まる学園で巻き起こる争い事や騒動を一撃で鎮めていく光景がシュールで痛快でした。
敵キャラがオール出オチ、且つ、ヒロインたちも軒並み落としていって、最強とはこういうことか。
学園内の序列1位にして学生の身ながら魔族退治の任務をこなす雪羽ですら生存を絶望する魔獣ドラゴンを、魔法を使わず素手の拳一発で倒してしまう悠理の規格外のチートとしか思えない最強ぶりが、もはやギャグ。
最強である代償に魔法はほとんど使えず、女性には攻撃しないという信念を貫くために、落ちこぼれと誤解されていて、周囲に馬鹿にされても気にせずに飄々としている悠理は阿呆なのか大物なのかわからないですね。
高い理想と目標を掲げて日々研鑽を積んでいる雪羽には、自分の感情のおもむくまま何もせず自堕落に生きている悠理が理解し難く、両者に溝が産まれてしまうのだけれど、望まぬ力を得てしまった悠理にも苦悩と葛藤があり。考えてみれば最強の力を使えば自分の好き勝手思う通りに世界を支配できるのにしていない。最強に溺れず欲望に打ち勝ち、自分を自制していることこそが彼の本当の強さなのではないかと思いましたね。
どんなに追い詰められても、女性だけは攻撃しないという縛りのせいで、折角の最強の力が持ち腐れになってしまうところがもどかしいものの、男が相手となればワンパンKOという極端ぶりが可笑しくてたまらない。
ここまで主人公無双、最強に次ぐヒロインたちも揃ってしまっていて、ここから「魔族が襲って来ました」ぐらいじゃあ、話のモチベーションを維持していけない気がするが、さて次回どうなっていくことやら。