![]() | 新世の学園戦区 (富士見ファンタジア文庫) 来生 直紀 三嶋 くろね 富士見書房 2013-09-20 by G-Tools |
魔術・霊能力・超能力・現代兵器、舞台は全てが交錯する東十字学園。“青春の謳歌"を望む少年・玖式ショウ、学園最強の魔術師・璃理佳ネイ、謎の少女・レディ、学園に危機が迫る時、運命の歯車が動き始める
運命と戦い、青春を謳歌する
人外に対処する異能者たちを育成する学園で繰り広げる三つの異能と科学が交錯する次世代ファンタジー
ライトノベルの各種バトル物のいいところ取りしたランチプレートのようで贅沢で美味しかったです。
人外に立ち向かう異能者を育成するための学園で、落ちこぼれ魔術師の主人公・ショウが、吸血鬼の少女・レディと出会い、騒動に巻き込まれていく中で変人ばかりのチームメイトと育まれていく絆に胸を打ちました。
魔術、超能力、霊能力、科学が融合した世界観、さらに吸血鬼といった存在に夢が広がります。
魔術科の生徒としては落ちこぼれのショウとチームメイトたちとのドタバタが可笑しかった。
クーデレで感情表現が不器用な幼馴染の璃理佳を始め、ぼっち体質の霊能少女フミカ、ナンパ男な御曹司アキラ。実力は確かだが性格に難のある変わり者ぞろいの面々が、試験のためにチームを組むことになって、放課後や休日に集まってはバカ騒ぎ、痴話喧嘩を繰り広げる光景が、これぞ青春!ってカンジで眩しかったです。
何者かに襲われていた少女レディを助け、打ち解けていくものの、彼女は人類の敵である人外の吸血鬼で、吸血鬼に母親を殺されたショウが、復讐に囚われずに人として受け入れようと苦悩と葛藤する姿が胸に迫った。
学園に溶け込んでいくレディの存在を、人外を専門に狩る討伐官が嗅ぎつけ、璃理佳を人質にレディを差し出すよう強いられ、璃理佳とレディのどちらかを選ぶか、追い込まれていくショウの立場が読んでて辛かった。
レディを庇ったことで学園中の異能者を敵に回しながらも、ショウを信じて共に立ち上がるフミカやアキラの熱い友情にも心揺さぶられる。周囲と浮いてしまう、似たもの同士が惹かれ合う姿が心温まりますねぇ。
まあ、ショウはあんな凄いチート技があるなら、さっさと使っておけよ!と思わなくもないですが、お約束という演出ですよね。なんでもござれな世界観が魅力的だからこれは続編出て欲しいなぁ。