Let's パーティー! -だけど僕には仲間がいない- (GA文庫) 小金井 ゴル 鍋島テツヒロ ソフトバンククリエイティブ 2013-09-17 by G-Tools |
仲間(パーティー)――。 それは魔物狩りを生業にするハンターにとって必要不可欠な絆。互いの役割を分担し、欠点を補うことで凶悪な魔物に立ち向かえるのだ。「んなわけねえだろ現世充爆発しろ」筋金入りの単独(ソロ)剣士セルジュ。彼は主人公なのに仲間がいない――。
ぼっちでも、友情がしたい
魔物狩りを生業としているのに仲間がいないぼっちたちが繰り広げる残念系ファンタジー。
これなんてモン○ン? いや、スタンダードなMMORPGの世界観だと言われれば、そうなんだけれどさぁ。
訳あってパーティーを組めない魔物ハンターの主人公・セルジュが、実力派はあれど性格に難を抱えたヒロインたちを集めて、国一番の実力を持つリア充パーティーでも尻込みする挑戦を成し遂げる展開が痛快でした。
ファンタジーやRPG系のあるあるネタ満載で、ぼっちプレイヤー達の皮肉の利いたギャグがウケました。
パーティーに憧れつつも、右腕の呪いで女性へのセクハラ疑惑をかけられ、同業者から避けられているセルジュが、やや卑屈だけれどピュアな少年の心を持った筋金入りのぼっちで、悲しいかな共感がわいてしまう。
人間不信で本心と真逆のことを言ってしまう魔法使いユークなど、美少女たちを次々に仲間にしていくものの、中身は厄介者、疫病神たちで、自分勝手な彼女らの暴走に付き合わされ、毎度苦労する姿が可笑しい。
あんな奴ら自分が求めていた仲間なんかじゃない、と言いつつも、他人に合わせることが出来ない世渡り下手の彼女らの苦悩や葛藤を知り、自分の右腕のことを知っても避けていかない彼女らのことを思ううちに、徐々に信頼や絆が芽生えていく姿が微笑ましかった。口喧嘩ばかりで、ただ自分のエゴをぶつけ合って、連携なんかあったもんじゃないんだけれど、自分を曲げず、逃げず、偽らずに正直に生きている彼らの若さが眩しい。
ラノベで流行りのスクールカースト系をファンタジーの世界観に当てはめたメタなパロディが失笑を誘う。
サブカルネタや現代語の使用は別に構わないんですが、ものの例えが意味不明でわかりづらくてどうなのよと思わなくもない。まあロー・ファンタジーに今更ギャグテイストだからって文句言うのもお門違いですが。
無難にユーク√行きそうだが、リノさんにはもうちょっとセルジュに近づいてデレて欲しいと思うのです。