![]() | 000のエレナ 日下 弘文 富士見書房 2007-03 by G-Tools |
【人類と神魔との闘いが始まって十数年。神魔の前に人類は滅亡の危機をむかえる。どんな神魔も消滅させる力があるとされる「聖櫃」に人類は最後の希望をたくすが・・・】
大風呂敷広げすぎ!
神や悪魔が光臨する世界で戦い続ける少女を描く終末もの。
神話や聖書の中に登場する神々が顕現し、地球上で勝手な争いを始めたとばっちりで滅びに瀕してしまった人類。
彼らに対抗する切り札となる存在『聖櫃』を巡るお話です。
救う価値もない人間たちのために必死に神魔と戦っているのに、『できそこない』と貶され虐げられ、それでも決して彼らを恨もうとはしない優しいエレナが健気で可哀想でなりません。
自分にごく普通に接して、優しくしてくれた涼牙に懐いていくところが小動物みたいで可愛いですね。
しかし主人公、涼牙のキャラクターが好きになれません。
良くいえば一世代前の熱血野郎、悪くいえばただのチンピラ。
己の正義のままに行動するその姿勢はよいのですが、後先を考えずに吶喊すればいいと思ってる肉体バカは見てて辛い。
あまりにも頭が悪すぎ。口が汚すぎ。ガキンチョはお前だ!
まずストーリーからしてトンデモ科学が前提ですが、なんでもかんでも『蝶古代文明』で片付ければいいってもんじゃねー。
登場する神や悪魔も、孫悟空とルシファーが戦ったり、孔雀明王が仏法の守護者と言いつつ人間を虐殺してたり・・・。
とりあえず、わかりやすい強敵が欲しかったから有名人並べてみましたって感じで、宗教的な思想や哲学がまったくない。
これは神話系が好きな人ほど拒否反応がでるんじゃないか。
最後にあとがきで作者がこの作品について凄い意気込みを語ってるのにちょっと萎えました。
「壮大」って、とにかく大風呂敷を広げることだったのか・・・。