![]() | ロストウィッチ・ブライドマジカル (電撃文庫) 藤原祐 椋本夏夜 アスキー・メディアワークス 2013-09-10 by G-Tools |
“魔法の国”で起きた“女王のための統合戦争”に巻き込まれた、鍛冶目山市の少女たち。魔女となった彼女らが身の裡に宿すのは、殺し合いの螺旋を紡ぐ奇跡と罪の力―魔法。魔女のひとりである咲森水奈は、行方不明となった親友の少女、早良坂人魚を捜していた。
少女は罪を抱えて、魔女となる
魔法の国の女王を決める戦争に巻き込まれた少女たちが繰り広げるマジカルサスペンス
ヒロインは全員女子中学生以下で魔法少女。変身後コスチュームがみんなエロかわいいすなぁ……。
異界"魔法の国"で端を発した“女王のための統合戦争”に巻き込まれ、魔女となってしまった主人公・水奈たち女子中学生が、生き残りをかけて殺し合う無差別サバイバルの中で見せる絆や成長に魅入られます。
魔法少女は殺し合うものという昨今の流行に、藤原祐ならではの殺伐とした世界観が合致して、これは愉悦
人を殺さない魔女のコミュニティに属している水奈ですが、他の魔女の大半は殺し合いが当然だと思っていて、比べれば甘い理想論に思えるのだけれど、彼女には理想を実現させる力と覚悟があって凛々しかった。
魔女候補である器の欠片を所持した少女・柊を自分たちのコミュニティに保護したものの、彼女を狙って襲ってきた他の魔女たちに身柄を奪われてしまい、敗北感に打ちのめされる希亜や舞衣子の姿が痛々しい。
柊を攫った魔女の薫や寧々も、また上位の魔女からの一方的な命令に従うしかない哀れな身の上で、実力が全てのドライな魔女たちのヒエラルキーに背筋が寒くなる。魔女たちが互いに互いを利用し合うなかで、魔女に力を与える"魔法の国"の住人たちの独自の思惑もからみ合って、精神の病んで歪んだ非現実的な人間ドラマを展開していく争いが、悲痛と哀愁、そして友情と決意に満ち満ちていて素晴らしかった。
理不尽と不条理の絶望の中だからこそ、ひときわ輝しく光る水奈たちの理想や希望が眩しかった。
しかし最初から希亜や舞衣子といった良き仲間に囲まれている光景を見てると、「藤原さんだから、この何人かは確実にエンディングまで生き残れないんだろうなぁ」などとメタな予想をして悲しくなってしまう。
今回は、キャラ紹介として、さて次回はどんな殺伐とした争いを見せてくれるのか、楽しみ。


