フルスケール・サマー (電撃文庫) 永島裕士 紅緒 アスキー・メディアワークス 2013-08-10 by G-Tools |
夏の始め。転入生の少年・慶介は席が隣になった少女に懐かれた。昼休み、彼女に案内された先には、なんと、90式戦車が!!どう見てもホンモノのそれを、鮎美はなんと“プラモ”だと言う。すごいけど迷惑なこれらの作品たちのせいで生徒会から目を付けられた模型部を守るため、慶介は協力を求められることになるが
廃部寸前だった模型部を蘇らせるため、主人公・慶介とヒロインたちが力を合わせて、かつての先輩たちが道半ばで挫折していた等身大ロボットを完成させ、東京で行われるロボットコンテストでの上位入賞を目指し、様々なアクシデントに遭遇しながらも乗り越えてがむしゃらに駆け抜ける姿が、いやぁ、青春だな……。
って、これまんま『ROBOTICS;NOTES』じゃねえかあああああああ!! 読む人にとってはアウトだと思う。
ガノタの鮎美やミリオタの美樹とかキャラはいいんですよ。可愛いけれど中身がどうしようもなく残念で、周囲にバカにされても、自分の好きなことに一途に取り組んでる姿が活き活きしてとっても眩しい。
慶介も平凡な高校生活を過ごしたいとは言ってても、一人で頑張る女の子を放っておけない優しさと、生徒会の一存で理不尽に取り潰されようとしている模型部の現状に義憤を燃やす熱い心を持った真の男だよ。
ただ、やっぱり設定の類似性が気になるし、ストーリーも先の展開が読めてしまうのが問題です。
しかし、面白かったか聞かれたら、正直、面白かったと言わざるを得ない。素人集団が知恵を絞って、プロも納得するクオリティの高い外装を作り上げる工程とか、コンテストの予選クリアするための試行錯誤とか、アクの強いキャラがわいわいハイテンション、ノンストップで全力疾走している光景が、すげぇ楽しかった。
設定でワンアウト、ストーリーでツーアウト。物語の途中からオチにかけてはまた違う方向に行って、そこは評価できるんで、スリーアウト直前で持ちこたえたという感ですが、それでもロボノを連想させちゃう時点でいろいろマズイんじゃないかと思う。まあ廃部の危機だったり、突発的なアクシデントはスポ根もののお約束で、ロボットを主題にしたら自動的にロボノと似てしまう、と言われたらその通りなんだけど……うーん。
似ていてもいい。むしろ似た作品が読みたいという人にはオススメです。それ以外にはオススメしません。