クラッキング・ウィザード ~鋭奪ノ魔人と魔剣の少女 (このライトノベルがすごい! 文庫) 紫藤 ケイ 夕仁 宝島社 2013-08-10 by G-Tools |
天空都市の一画で探偵を営む主人公・ヴァルは《鋭奪ノ魔人》の異名を持つ天才的ハッカー。そんな彼の元に魔術器具会社の社長令嬢エーレフォーアがやってきて、母の形見である腕輪の奪還を依頼する。超おてんばな彼女にてこずりながら仲間の力を借りて腕輪のありかを突き止めるが、その裏にはある人物の黒い思惑が。
夢見た未来を解き放て
天空都市で魔術探偵のハッカー少年とおてんばお嬢様が繰り広げるマジカルアクション
サイバーパンク! でも、魔術や魔道具といった魔法的要素が入っていて、むしろウィザーパンク。
お転婆な社長令嬢エーレフォーアから盗まれた腕輪の奪還の依頼を受けた魔術探偵の少年・ヴァルが、大企業相手にハッキングに挑み、魔術ハッカーたちと知恵と技術をぶつけ合う電脳バトルに手に汗握りました。
それまでの純ファンタジー路線から一気に若い読者向けのエンタメにヴァージョンアップしてました。
神が作ったとされる特殊な腕輪<ドラウプニル>を奪還するため手を組んだ、皮肉屋でヒネクレ者のヴァルと、熱血屋でお転婆なエーレフォーアの行き当たりばったりだけれど息のあった掛け合いが可笑しかった。
魔術的な妨害はヴァルの魔術で華麗に侵入し、物理的な障害はエーレフォーアの大剣で豪快に突破して、ハッカー仲間の力も借りながら、大企業を守る様々なセキュリティを次々と攻略していく光景が痛快でした。
侵入自体は成功したものの、大企業相手に喧嘩を売ってしまったことで目をつけられ、厳しい状況に追い詰められてしまい、続行不可能と諦めてしまう魔術ハッカー仲間たちのドライな感性は悔しくて切なかった。
依頼は取下げられたものの、<ドラウプニル>を悪用した天空都市や人々を巻き込む企みを知ってしまい、苦悩しながらも己の信念と正義のために立ち上がるヴァルとハッカー仲間たちの心意気に胸が熱くなりました。
それにしてもヴァルのハッカー仲間はみんな犯罪者というかキワモノ変人だけれどいい人すぎる。腕は立つのに「俺は孤独だ」なんて思春期全開で青臭いヴァルは確かに見てると面白くて萌えます。だからだな(確信)
ちなみにスマホの専用アプリで作中の魔法陣を読み取るとAR技術でキャラや動画が再生されるらしいですが、なにその技術の有効活用! すげぇ! しかし、私が持ってるの対応機種じゃなかった。買い換えるか……。