トゥルークの海賊2 (C・NOVELSファンタジア) 茅田 砂胡 中央公論新社 2013-07-27 by G-Tools |
探索の依頼を受けてトゥルークに赴いた怪獣夫婦は連邦軍の駆逐隊が壊滅する現場に行き合う。その襲撃者は恥知らずにも伝説の大海賊の名を口にした。―その時、ケリーの顔から表情が消えた。一方、大いなる闇の顕現を告げられたトゥルークの僧侶たちは大混乱。ついにはサリース・ゴオランの僧籍離脱問題へと発展…?
神を信じて疑うべからず
女王と海賊王。常識外の怪物夫婦が繰り広げる痛快SFスペースアクション
ゴジラ夫妻も、黒い天使も、みんな激おこ。その人たちキレさせたら宇宙が滅んじゃうらめぇ。
二代目グランドセブンの名を口にした海賊たちにケリーが激怒し、クーア財閥の関係者が不祥事を起こしてジャスミンが憤慨し、サリース・ゴオランを非難する僧院にルゥが憤怒し、普段は絶対に怒らせてはいけない人たちが、そろってマジギレしていて読んでてハラハラしっぱなしでした。心臓に悪いがすげー楽しいわw
初代グランド・セブンとは比べ物にならない自称二代目たの三下ぶりに、怒りを露わにするケリーだけれど、そう名乗るだけのゲートの知識や戦力を整えていて、目の前で取り逃がしてしまうところが口惜しい。
馬鹿御曹司のトゥルークへの領海侵犯が、思いもよらずクーア財閥に関係してて、騒動の処理を考えていた矢先に、追いかけている麻薬事件とも繋がってと、意外な所で事態が結びついていく展開に興味をそそられる。
一方、トゥルークでは、ルゥと会ったことや、彼の漏らした発言がアドレイヤの進退問題に発展していて、それを知ったライジャの相談を受けたリィが、ルゥをお得意の"あの手段"で拉致してくるから懐かし可笑しい。
トゥルーク行きを嫌がっていたのに無理矢理に連れて来られて怒りのオーラ全開のルゥと、そんな彼の前に引き出されて戦々恐々としている三十一人大師たちとの問答面談が痛快すぎて、もう笑いが止まらないw
地上で騒動が解決している間にも、宇宙で事態が急転して、海賊たちが良からぬバカなことを企んでで……。よりにもよってゴジラ夫妻だけでなく、金銀黒天使がいるときになんとも間の悪い。過信は身を滅ぼすって。
身内を人質にまで取ってさらに自分たちの死亡フラグを積み上げていく自称二代目さんたちの蛮行に、もはや呆れるほかありませんね。せめて読んでる我々が楽しめるようケリーたちにやられてもらうのを期待しよう。