かくてアダムの死を禁ず 海冬 レイジ 富士見書房 2007-03 by G-Tools |
【桃原誓護、十七歳。妹とともに、ある決意を持って木立の中の修道院を訪れていた。叔父である鏡哉を告発するために。しかし、それは想像を絶する体験の始まりだった】
犯罪級のシスコンだな・・・
罪を抱えた御曹司と異能を用いて罪を裁く冥界の教誨師(グリモアリス)と呼ばれる少女のミステリものです。
舞台は人里離れた修道院。かつてこの地で起きた殺人を裁くため、冥府より訪れた教誨師によって囚われた容疑者たち。
自らの罪を見逃す代わりに、犯人探しの取引をした主人公・誓護は事件の調査を始め、そして新たな事件が起こります。
ヘタレナルシストな誓護のシスコンっぷりが愉快です。
繊細で情けないのか、したたかで頼れるのかよくわからん。
だが、妹のために地獄へ落ちるのも厭わない覚悟は潔い。
最初は人間を見下していて嫌な女だったアニコットが、誓護の献身さに触れて次第に変化していくのが可愛かったです。
アコニット様の高飛車からのツンデレは美味しかったが、
ただその他の脇役というと、面白味が薄いなぁ。
主人公イジメに走る真白さんは、イイ性格してたけど、
最後の転落ぶりが笑えない笑えない・・・。
ミステリとしてもキャラの配置的にモロバレなんですよね。
事件が起こる前から○○か●●だろうなとは直感した。
とくに奇抜なトリックがあるわけでもなく、情報を集めていくうちに真犯人にたどり着くという火サスタイプの話なので、まあミステリというよりは、伝奇といった方が正しいかもしれません。
第一、なんで修道院なんかに来てるのかがわからない。
富士ミスレベルでも面白いのかつまらんのか微妙なライン。
「I」と銘打ってシリーズ化が前提になってるが、そういう作品こそこけそうな予感がプンプンだ。
「U」が相当良くないと、「V」が出るのは難しい。