ダフロン

2013年07月02日

時の悪魔と三つの物語/ころみごや

4798606308時の悪魔と三つの物語 (HJ文庫)
ころみごや かぼちゃ
ホビージャパン 2013-06-28

by G-Tools

結婚の約束をして外界に旅立つラキを見送るイルクを待ち受けていたのは過酷な運命と『時の悪魔』だった。悪魔から時を駆けることが出来るという『時の砂』を受け取ったイルクの決断は……。『時の悪魔』によって運命の岐路に立たされた3組の男女が織りなす、「時を超える」新本格ファンタジー。

 時を駆ける純愛

 時を駆ける悪魔と3組の恋人たちが織りなすミスティックファンタジー。

 みんなリア充じゃないですかやだー。こうもイチャイチャされては、そりゃ悪魔も呪いをかけたくなるわ。
 時間を駆ける悪魔がもたらす『時の砂』によって、死の運命を定めたれた恋人たちが、新たな希望を見出していく光景が心温まります。本を愛する登場人物たちが空想の世界に思いを馳せる姿にも共鳴しました。
 もしも時間を戻すことができたら、そんな誘惑を与えられた人間たちが魅せるドラマに心が揺さぶられる。

 作家として更なる作品作りのために旅に出たラキが不在の間に、恋人のイルクに起きた悲劇は不条理に満ちていて読んでて辛かったけれど、イルクを失った彼の前に現れた『時の悪魔』が時間を巻き戻す「時の砂」をくれて、ご都合主義だなぁと思ったものの、その「時の砂」にはイルクの思いが宿っていて泣けました。
 国ぐるみの政策で本屋と小説家を支援しているフェリスティアが本読みの理想郷ですね。王女さま素敵ー。

 この物語では3組のカップルが登場するのですが、2話目の旅籠を始めるアルとロニカの二人が一番好きでしたね。無愛想でもお人好しのアルと自由奔放で賑やかなロニカの掛け合いが明るくなって楽しくなりました。
 『時の悪魔』のトキの誕生を描く3話目のスクルージとトキの話は、時間を遡って失敗をやり直しても、過ぎ去った時間軸を捨てずに、もう一度取り戻そうと奔走する二人の愛の深さに胸を打たれました。

 幸せに過ごしていた恋人たちに起きる悲劇を『時の悪魔』が時間を戻して都合よく修正するのか、という読者が単純に予想するだろうストーリー予想のさらに上を行く、もう一捻りある展開に魅せられます。
 ただ読みやすさはあるものの、一話ずつの物語が短すぎて物足りないかなぁと。語りの視点を変えるならもっと群像劇のようにするか、恋愛も相思相愛なだけでなく多角関係を膨らませて欲しかったところ。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | HJ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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