ダフロン

2013年07月01日

8番目のカフェテリアガール 東京なごやかプロジェクト/石原宙

408630743X8番目のカフェテリアガール 東京なごやかプロジェクト (集英社スーパーダッシュ文庫 い 6-3)
石原 宙 029
集英社 2013-06-25

by G-Tools

妹と名古屋メシが苦手で東京に逃避行している高校2年生の米田シロ。その兄を追って上京してきた妹のなごのはシロの働く学食で一緒に働くことになり…!? 味噌たっぷりの学食ラブコメ、堂々開店!

 夜明けの天に輝く光

 名古屋ガールな妹と個性豊かなスタッフたちのドタバタの働きぶりを描く喫茶店ラブコメ

 こ、これが巷で噂の超次元料理バトル……食べ物で遊び過ぎだろうお前ら。名古屋ネタで遊ぶのはいいよ。
 8つの店舗が覇を競う学食で、常に最下位8番目の喫茶店「満天」に、名古屋からやってきた少女・なごのが加わり、潰れかけた店の再建を目指す彼女が巻き起こす甘味噌旋風に学園が揺れる光景が愉快でした。
 名古屋あるあるネタのオンパレードがマニアックでした。これを読めば名古屋がわかる!(多分)

 味噌好きでブラコンで、何もかも名古屋スタンダートで考えるなごのが変人キャラで名古屋の県民性をよく現していました。東京人の登場人物も十分にキャラが濃いですが、兄シロくんの驚きの白さ。主人公属性やな。
 シロのいるダメ食堂「満天」で働くことになってからも、勝手な暴走が後を絶たず、学食トップのレストランに喧嘩をふっかけて、負ければ廃業のデスゲームに発展してとイチかバチかの気の狂った再興計画が面白い。

 圧倒的物量作戦に出たライバル店に対し、総合力では太刀打ち出来ない「満天」側は、東京ではマイナーな名古屋フードのインパクトや、スタッフの各人が得意とする分野の局地戦でもって小さな勝利を重ねて、そうした彼らのお客様第一の努力が周囲の客や店員の心を変えて、本来の学食のあるべき取り戻していく様が素晴らしかった。最後には敵も味方も互いの力を出し尽くす完全燃焼の名勝負で心地良い達成感と充実感を抱きました。

 名古屋ネタやギャグだけでなく、ヒロインたちのキャラもしっかり可愛く、深いドラマもありつつ甘いようで濃い、まさに甘味噌のような作風がお腹にたまりました。なごのも可愛くて無邪気な妹かと思えば、実は味噌のような腹黒いさもありと、塩辛さも効いていました。料理にかける味噌のように相性ぴたりの名古屋ネタですが、シリーズを続けるとしたらネタの引き出しがどれだけ持つのか不安なところではあります。


 蛇足。ちなみに愛咲は1年間ほど出張で名古屋で暮らしてたので、東京人が見た名古屋県について語ろう。
 甘味噌は実際は、ちょっと甘口のソースみたいなもので、わりと何にでも合うんですよ。それよか、向こうのスーパーいくと、棚一面が味噌で埋まってて、振り返ると反対側の棚も味噌で埋め尽くされている。「○○専用の味噌」とかバリエーションの凄さこそ驚きます。でも、何で外食で出てくる味噌汁は赤味噌だけなんだよ!

 いや、味噌はいいんだ。味噌カツとか味噌田楽とか美味いしな、味噌かけフードは基本ハズレがない。それよりも「どて煮」だよ! なんだよあの脂っこさは! 昼食にどて煮定食食べたら胸焼けして夕飯はお茶漬けしか口に入らなかったわ! 名古屋人以外には危険物すぎるぞ! 名古屋素人は手羽先とコーチンの焼き鳥でも食ってろってか! 外でも自宅でもよく食べたよ! 手羽先の骨を取り除く上手な食べ方は身体が覚えている!

 そういえば、コメダ珈琲店が地元の駅前に東京進出してきたんですよ。名古屋の各駅前には必ずコメダ珈琲店があったのでデジャヴったよ! 駐車場が広くて入りやすいのな! 駅前にそんなスペース広げたら、違法駐車ばかりになってしまうんじゃないかと思うけれど、名古屋は天下のトヨタ様の城下町だから、車文化で駅前はどこもバカでかい駐車場が完備されてるのな。逆にバスが少なくて東京の感覚で出かけると駅前に出て詰む。

 それで、車文化で自家用車でみんな生活してるのに、大半の道路の側溝にフタが無いのはどうしてなんですかね! 大通りはしっかり整備されてるのだけれど、ちょっと裏道に入ると側溝が口を開けていて、夜道で油断して歩いてると側溝に落ちそうになるんですよ! トラップか! これは名古屋人の罠だ! 怖い、さすが名古屋怖いな! ケチと言われる前に整備してください! ただ路上駐車がほぼ皆無なのは偉いと思いました!

 とまあ、いろいろ驚きの連続だったのですが名古屋での滞在は、多くの人々にお世話になりまして、ありがとうございました。地元のコメダ珈琲店にはシロノワール目当てでよく通っています。東京から名古屋へ愛を。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 集英社スーパーダッシュ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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