ニーナとうさぎと魔法の戦車 8 (ニーナとうさぎと魔法の戦車シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫 う 2-8) 兎月 竜之介 BUNBUN 集英社 2013-06-25 by G-Tools |
人を殺さない戦車隊・首なしラビッツ。その志を掲げた戦車長・ドロシーは銃弾に倒れた。彼女を失ったニーナたちが悲しみに沈む一方、ハイディーマリーの軍勢は侵略を開始する。空に浮かぶ巨大な城。強力な魔力を有したクローン兵。組織化された野良戦車。圧倒的な戦力がアンフレックに迫る
世界平和へ続く明日
魔法で動く戦車に乗って街と人々の平和を守る戦車隊の少女たちのミリタリーアクション。
最後まで可愛い女の子たちが百合百合イチャイチャ。えがった、ほんとうにえがったわ。・゚・(ノД`)・゚・。
クローン兵と野良戦車の大軍団を率いてアンフレックに迫る、敵将ハイディーマリーの操る空飛ぶ要塞アーケシア城めがけ、戦場のすべての人々の思いを背負って飛び込むラビッツの少女たちの雄姿に見惚れました。
生まれる時代が早すぎた傑作。ガールズミリタリーブームがきている今こそウケたはずなのに惜しい。
戦車長のドロシーを失い、悲嘆に暮れるラビッツの面々でしたが、これまで彼女たちが助けた多くの人々や家族と再会し励まされ、ドロシーが掲げたラビッツの信念を胸に再び立ち上がる姿に胸が熱くなりました。
空に浮かぶ要塞からの侵攻に打つ手のない劣勢に立たされるも、駆けつけたエミリアやコルノによって逆転の奇策がもたらされ、アンフレックの街の住人総出で特攻をかけるラビッツをサポートする光景が燃えます。
ハイディーマリーの思想は、女王ソフィアの目指した理想と何処ですれ違ってしまったのだろう。自己肯定に囚われた彼女と違い、憎しみに溺れず真実をすくい上げようとしたシルヴィアの思いは、得難き素質でした。
優れた人種となるためにハイディーマリーが切り捨てた人間性が、彼女の足をすくう結果になったのはなんとも皮肉でした。マドガルドも最後の最後で人間性を取り戻すことができたのかなと彼の人生にも悲哀を感じる。
世界を揺るがす大事件のその後も、残された者たちは明日を歩む。少しずつ平和に近づいていることを信じて、少しずつ平和のためにできることを続けていく。ラビッツや戦車乗りでなくとも、ごく普通の人間が当然のようにそう願う世界が、本当の戦後であって、平和なんだとエピローグの感動を噛み締めながら思いました。
8巻でもまだ続けれるだろうけれど、綺麗な終わり方だし、これはこれでいいかな。次回作に期待です。