![]() | 覇剣の皇姫アルティーナIII (ファミ通文庫) むらさきゆきや himesuz エンターブレイン 2013-06-29 by G-Tools |
難攻不落の敵要塞を見事に制圧したアルティーナ。そこへ一通の書状が届く。それは第二皇子ラトレイユから建国記念祭に出るようにとの要請だった。宮廷には軍権を握るラトレイユだけでなく、その参謀ジェルマン、第一皇子オーギュスト、地方貴族を束ねる公爵家の女傑など、幾つもの勢力が策謀を巡らせていた。
陰謀の宴を斬れ
読書狂の青年軍師と伝説の宝剣を振るうお姫様が織り成す戦記ファンタジー。
戦場から離れた途端、役立たずなアルテーナがおバカ可愛い。君はピュアなそのままでいればいいと思う。
功績を立てたことで一躍名を上げた第四皇女アルテーナと軍師レジスが、陰謀渦巻く宮廷での晩餐会に招待され、第一皇子と第二皇子の政争の駆け引きに巻き込まれていく中で見せるレジスの閃きが秀逸でした。
ついに皇位継承争いの渦中に飛び込んだアルティーナとレジスの出たとこ任せの活躍が面白いです。
帝都へ里帰りするのにも貴族的な贅沢や虚飾を嫌い、最低限の装いで帰還する庶民的なアルティーナの姿に改めて好感を抱くのですが、腐った貴族ばかりの宮廷でのかつての彼女の暮らしぶりを思うと非常に痛ましい。
そしてやっぱりアルティーナを始めとした皇族は、みんななんらかの特異体質なんでしょうね。病弱な第一皇子はともかく、第二皇子、第三皇子の身体能力は、いやいや、お前ら人間ってレベルじゃねーぞ……。
南部の新興貴族の取り込みに成功した第一皇子オーギュストと、差をあけられ焦る第二皇子ラトレイユとの政治争いに翻弄されるアルティーナでしたが、国民のための皇帝になるという初志を貫く姿勢が勇ましい。
切り札を持ちだそうとするラトレイユに対し、後手に回り続けていたレジスが相手の持ち札を先読みし、逆転に回る一手は、単純明快にして相手の次の手を封じる巧妙さ、狡猾さ、性格の悪さが現れていてニヤリとくる
しかし、アルティーナは剣と力で解決できない問題に関してはまったくの無能なんですね……。これが皇帝になって本当にいいんだろうか。レジスがついてないとホイホイ騙されそうで危なっかしいですね。
戦争を止めるとしても、それで生まれる失業者問題をどうするか、最後にそうこう言ってはいられない事態が起きてしまいましたが、さて今後の展開にどう影響してくるのか。それよりラブコメしようぜラブコメ!