恋に変する魔改上書 (ガガガ文庫) 木村 百草 小学館 2013-06-18 by G-Tools |
女子高生・莉子には納得がいかないことがあった。突然、幼なじみの冴えない男子・諒太が3人の美少女と仲良くなり、モテモテ状態になっているのだ。目の前で繰り広げられるハーレムラブコメにイライラの莉子だったが、ひょんなことから現実を「上書き」してしまう「ラブコメの魔」の力を手に入れて…!?
ラブコメには悪魔が潜む
現実を上書きする「ラブコメの魔」の力を手に入れた女子高生が綴るヘンテコ学園ラブコメ
ライトノベルのラブコメというジャンルに真っ向から喧嘩売ってるけど、自分に跳ね返ってないか?
現実を改変する「ラブコメの魔」の力を手にした女子高生・莉子が、幼馴染の諒太と3人の美少女の日常をハーレムラブコメの世界に改変してしまい、巻き起こっていくドタバタ騒動が可笑しかったです。
ベタなラブコメが如何に現実とかけ離れた夢物語であるかを描いたアンチラブコメディというべき問題作。
3人の美少女にモテるようになった幼馴染の諒太に嫉妬しつつも、素直に自分の気持ちを認められない莉子がいじらしく、3人の美少女たちが急接近して振り回されていく諒太が羨ましいやら妬ましいやら。
鬱憤晴らしに執筆したラブコメ小説がいつの間にか現実を上書きしてしまい、リアリティや整合性を完全に無視して展開されていく突拍子もない『ラブコメ』の珍妙さたるや頭を抱えたくなりますね。メタだなぁ。
莉子に取り憑いた「ラブコメの魔」・ラブ子ですが、ラブコメを変に勘違いしているポンコツ悪魔っ娘で、面白半分で世界を改変しては事態を余計に無茶苦茶にして、コイツ早く罰が当たらないかとひたすら思ってた。
改変した世界を、なんとか元に戻そうとするんだけれども、気まぐれなラブ子や素直になれない気持ちが邪魔をして、肝心なところで失敗を繰り返してしまう姿が、読んでいてもどかしい気持ちでいっぱいでした。
超展開はネタとして受け入れられるんだけれど、暴走するラブ子のグダグダ展開が途中からダレました。
これだけだと莉子が、ただ僻みっぽくて面倒臭い女になってしまっているので、3人娘のようにもう少し男性目線で可愛らしさや萌えを感じるような一面が欲しいな。諒太もよくあるツッコミ体質な平凡な男子そのままなので、こちらも「コイツならハーレム王でも許せる」と思えるような見せ場でもあればよかったかな。