ダフロン

2013年06月18日

魔女は世界に嫌われる/小木君人

409451421X魔女は世界に嫌われる (ガガガ文庫)
小木 君人 そと
小学館 2013-06-18

by G-Tools

武器職人の父親と幼い妹と3人で暮らす少年ネロの平穏な日々は、国王軍の襲撃により唐突に終わりを告げる。
妹を背負い森へと逃げ込んだネロは、踏み入れたら二度と戻れない「不帰の谷」を抜け、とある古城へとたどり着く。そこで死の床に伏した魔女と、その娘・アーシェと出会った……。

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 魔女の存在が忌み嫌われる世界で、少年と魔女の少女の恋と成長を描く冒険ファンタジー

 冤罪によって兵士に追われる主人公・ネロが、迷い込んだ古城で出会った魔女から愛娘・アーシュを託され、彼女と共に旅に出るというストーリーなのだけれど、中身が薄くて物足りず、どうにも評価しづらい……。
 人間を支配する有角人や、魔女の産み出した影虫や月光揚羽などの不気味な魔法生物など独特の存在はありますが、人間から排斥されて魔女が隠れ潜む世界観とか、すでにありふれていて新鮮味を受けなかった。

 誠実で思いやり溢れる少年ネロと、世間知らずで外の世界に憧れる魔女の少女アーシュのキャラにも好感は持てるのですが、掘り下げが浅くないですかね。もう少し二人の相互理解が描かれているとよかった。
 妹を生き返らせる代わりにアーシュの旅に協力する契約を交わした故の同盟意識なのか、家族を亡くした者同士の連帯感なのか、はっきりしないですが、お互いに偏見を乗り越えて信頼し合うのが早すぎるような。

 兵士との戦いにしても便利な魔剣を手に入れたお陰で、いきなり強化人間相手に普通に立ち回れてしまえて、都合がいいというか、お手軽な展開に終始してしまい、アクションの戦いぶりに工夫を感じなかった。
 アーシュの未完成の死霊魔法を使ったハッタリや、地の利を活かした駆け引きで魅せるということもできたと思うんですけどね。読んでいる読者の予想や期待を越えてくれなかったのが惜しくてなりません。

 デビュー時から小木君人さんの作品は好きだし、前作の『森の魔獣に花束を』は高い完成度でまとめていて傑作だと思うんですけれど、前作ほど心に訴えかけてくるドラマもとくになく、感動するポイントに欠ける。
 シリーズもの前提での1巻目ならこんなキャラ紹介で十分だと言えなくもないですが、これを読んで続きを読みたいかと尋ねられると、ちょっと難しいな。一言でまとめると『ツカミが弱い』これに尽きると思います。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ガガガ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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