浜村渚の計算ノート 4さつめ 方程式は歌声に乗って (講談社文庫) 青柳 碧人 講談社 2013-04-12 by G-Tools |
テロ組織「黒い三角定規」が、いよいよ浜村渚に直接対決を挑んできた。渚と武藤龍之介をミュージカル劇場に招き寄せ、一次方程式を解けという。だが、その問題は普通のやり方では解けないうえに、「黒い三角定規」の驚くべき策略を示唆するヒントも仕込まれていた!
数学は真理を探す旅
数学マニアのテロリストが起こす難事件に天才数学少女が挑む数学ミステリ。
数学テロを起こす連中って、ただ単に女子中学生と話したいだけじゃないのか……その気持ちわかるわー。
数学テロ組織「黒い三角定規」に浜村渚の存在が知られるようになり、彼女を名指しで挑戦してくる数学テロリストたちが巻き起こす、残忍だけれど、どこか滑稽でユーモラスな事件の数々が面白可笑しかったです。
随分前に買って放置して忘れていたのですが、なんですぐに読まなかったのかと後悔しきりですね。
『モンティ・ホール問題』、『四角数』、『バーゼル問題』、『四平方の定理』。数学を愛する女の子・浜村渚にかかればそんな難解な数学用語が、世界の秘密を解き明かす不思議な魔法の言葉のように聞こえてくる。
数学が大好きな彼女の情熱が周囲の人々にも伝わって、一人また一人と数学の世界の魅力に気づいていき、凶悪犯罪に加担する数学テロリストたちも本来の純粋な気持ちを思い出して改心していく姿が微笑ましいです。
名前だけはこれまでも何度か登場していた浜村渚の親友・千夏の言葉にも、ハッとさせられる。今の社会も、何が良くて何が悪いか、大人たちが勝手に決めつけて押し付けて、子供たちが忘れ去られていますよね。
初めから大人が選別して取り上げてしまったら、子供は良し悪しを判断できない大人になってしまう。未来の可能性は誰かが決めつけることはできず、すべての確率は"同様に確からしい"ものでなくてはいけませんよね。
突如として始まったミュージカル表現は何事か!?と思いました。挑戦的な試みでしたね。視覚化できたら楽しいだろうけれど、どこかやってくれないものか。実写ドラマ化したら面白いと思うんだよねこの作品。
「黒い三角定規」にも大転機が訪れ、彼らを追いかける武藤龍之介も警察官としての仕事というだけではいられなくなってきました。コミック連載も始まりましたし、さて今後の展開に期待であります。
ときにニコ動で、作中で歌っていた『ドレミの歌』の「歌わせてみた」がうpされてて、これはナイス。