![]() | ミス・ファーブルの蟲ノ荒園(アルマス・ギヴル) (電撃文庫) 物草純平 藤ちょこ アスキー・メディアワークス 2013-06-07 by G-Tools |
18世紀に発生し、瞬く間に世界中へと広がった謎の巨大生物“蟲”。異国への航路上で蟲を操る男たちに襲われた少年・秋津慧太郎は、ある海岸に流れ着く。その左目に奇妙な力を得て―そして辿りついた荒地で慧太郎は、蟲たちを愛し、その研究と対処とを生業とする美少女アンリ・ファーブルと出会った。
楽園を目指す昆虫記
蟲と呼ばれる謎の巨大生物により変貌したもう一つの近代の世界で蒸気と蟲と恋が彩るファンタジー
魔法と科学に、ちょっと不気味で妖しい蟲の存在があわさった世界観がロマンたっぷりです。
巨大昆虫・蟲が蔓延する世界で、単身、異国の地フランスにやってきた日本人の少年・慧太郎が、蟲を愛する少女・アンリと出会い、国家を巻き込むテロ騒動の渦中で、お互いの絆を深めていく姿に胸を打たれました。
昆虫学の世界から魔術と科学、歴史、人々を取り巻く自然学へと話を広げていくテーマが興味深い。
魔女であり昆虫学者の卵のアンリのあけっぴろげな明るさが魅力的で、剣の腕は立つものの蟲を殺せないほどお人好しな慧太郎の生真面目な誠実さも好感を抱けて、故郷の薩摩に居場所が無く追い出されるようにして異国にやってきた少年と、名門女学院に通いながらも変わり者で友達がいない少女との似た者同士な二人が、互いにとってかけがえのない理解者となり、押し込めていた自分の理想を貫いていく姿が活き活きして眩しかった。
蟲に寄生され変異した人間<裸蟲>のテロ組織の、自分たちの人権を求める犯行動機は、人情的に理解できなくもないけれど、事件を起こせばそれが悪者の偏見を産み、彼らの首を締めていく負の循環がやるせない。
組織と政府のどちらが善か悪かは決めきれずとも、目の前で起きていることから間違いを正そうと立ち上がる慧太郎とアンリの正義観は、綺麗事と言ってしまえばそれまでだけれど、それだけに希望を感じました。
蟲とは一体何なのか、という謎については、不明なまま、さらに新たなワードと謎を残されてしまって、勿体ぶられている感があるのですが、おいおいストーリーで解明されていくのを期待しましょうか。
おっぱいクラス委員長とのラブコメがもっと見たいぜとも思うんだけれど、この設定だと百合だよなぁ……。
そしてそして、前作の『スクロリ』の続きはいつになったら出るんでしょうかヒーホウ……。


