生徒会探偵キリカ4 (講談社ラノベ文庫) 杉井 光 ぽんかん8 講談社 2013-06-07 by G-Tools |
白樹台の体育祭はただの運動会じゃない。運営権と予算枠3000万円を賭けた、体育科とのガチンコバトルだったのである! 強大な敵を前に、普段は反目しあう会長と朱鷺子さんと郁乃さんも一致団結。キリカも莫大な予算額にいつになくやる気満々。そして僕らの前に立ちはだかる体育科のリーダーは……魔王陛下?
魔王軍を討て!
生徒会会計にして探偵である少女と、その助手になった少年の学園ミステリー。
探偵モノだと思って読んでいたはずが、最初から最後まで詐欺師無双だった件について。あっ、元からか!
体育科とその他の生徒がぶつかり合う白樹台学園の体育祭で、主人公・日影と生徒会メンバーが、体育科のアスリート集団相手に、諜報や騙し討ちなんでもありの全面戦争を仕掛けるノリノリの展開に燃えます。
お互いのすべてを賭け、生徒のすべてを巻き込んで繰り広げられる狂騒劇にすっかり飲み込まれました。
代々、生徒会と体育科の勝負になる体育祭で、生徒会メンバーの相手役となる体育科代表の瀧沢瑠威那の中二病っぷりに、アイタタタ……と思いつつも、その魔王様としての自身の有り様に一目置かずにはいられない。
生徒会側の交渉役として近づいた日影が、何故か魔王様に気にいられてと、相変わらず男女を問わないタラシ属性に戦慄を禁じ得ない。メインヒロイン(薫くん)がいるのに他の男と密室で二人きりとかふしだらですね!
例年マンネリが続く体育祭を盛り上げるため、あえて不利な条件を持ちだして背水の陣を敷く生徒会がアホだけれど、これでようやく面白くなってきたと、勝負に燃える白樹台学園の生徒たちの心意気に惚れました。
体育祭当日は魔王率いる紅組に大差で負けつつも、すべて計算された敗北を重ね、最後の大勝負の騎馬戦で、生徒会メンバーの総力を振り絞って奇策の上に奇策を練り上げた大どんでん返しに心底感服した。見事!
しかし、勝敗とは無関係なところに瀧沢瑠威那の真の目的は別にあって、それを見抜く生徒会探偵キリカの冴え渡る推理もさらにその後に待ち構え、作中に二重三重に描かれた伏線の巧妙さに唸らされますね。
ヒロインたちのサービスシーンも含めて、これまでで一番のスケールの熱狂と興奮と面白さでした。
次回はついに生徒会選挙か? でも、その前に文化祭や修学旅行イベントがあるような気がするなぁ。