ダフロン

2013年06月06日

聖剣の姫と神盟騎士団 U/杉原智則

4041009383聖剣の姫と神盟騎士団 II (角川スニーカー文庫)
杉原 智則 Nidy‐2D‐
角川書店 2013-05-31

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ダークとフィーネの活躍で、つかの間の平和を取り戻したラグナの谷。しかし、水面下ではカーラーン軍の新たな刺客が谷に潜入し、密かに活動を開始していた。ダークが偶然知ってしまったその驚くべき作戦とは!?時を同じくして、フィーネの耳に初代聖剣団メンバーの“竜殺し”ラッセルが谷に戻るという知らせが入る。

 最悪は常に予想を上回る

 名誉ある騎士団の崩壊を防ぐため、一人の小悪党が再建に挑む異世界戦記ファンタジー。

 絶体絶命の窮地を小細工一発でひっくり返す。そこにシビれる憧れ……はしないな。
 聖剣団の隊長の一人『竜殺し』・ラッセルが敵軍に寝返ったという情報を聞きつけ、騎士を自称する彼らしくない行動を不審に思いながらもダークとフィーネがイチかバチかの策で待ち構える展開に気を揉みました。
 敵も味方も悪党だらけ、お人好し揃いの聖剣団がやっていけるのか、不安で仕方がありませんよ。

 ラグナの谷に潜入捜査していた以前の上官ハスターと運悪く鉢合わせしてしまい、二枚舌を使い命乞いするダークに憤りを感じなくもないのですが、まあこういう奴だよね。つくづく主人公ってキャラじゃないなぁ。
 むしろ、黒魔術で洗脳されて敵軍にいいように操られるラッセルと、かつての仲間である彼に剣を向けられないフィーネの不甲斐ない姿の方が苛立ちます。ああもう、なんで目の前の現実が見えてない奴ばかりなのか。

 竜殺しの英雄のくせに驚くほど単純なラッセルに呆れますが、何のことはなく、いくら強くても迷いもするし失敗もする、一人の若者なんだと彼のキャラが解ってくると、次第にその人間味が可愛く思えてきましたね。
 敵も味方も上に立つ者たちは仕事熱心で、それだけに生真面目なものだから、ダークの浅知恵にコロリと騙される姿が可笑しくてなりません。まあダークの小物ぶりを直に見れば、誰でもつい油断してしまうわな。

 ダークの説得はまさに詭弁でしかないのですが、それでも御大層な理由を掲げて事態を悪化させていくラッセルや何も出来ないフィーネの言葉よりは地に足の着いた考えで納得してしまう。即物的といえばいいか。
 聖剣団を裏切るか、最後まで悩んでいたダークが、人を疑うことを知らないフィーネの天然っぷりにあてられて覚悟を決めるところは、ちょっと見直しました。ダークはその時の気持ちをどうか忘れないでいて欲しい。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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