ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか3 書き下ろし短編小説&ゲストイラスト集付き限定版 (GA文庫) 大森 藤ノ ヤスダスズヒト ソフトバンククリエイティブ 2013-05-16 by G-Tools |
突如憧れの女性【剣姫】アイズと再会を果たしたベル。そこで突きつけられてしまった事実。自分を抉る最大の因縁。紅い紅い、凶悪な猛牛・ミノタウロス。少年はそんな自分を情けなく思った。そして少年は初めて思った。僕は── 英雄になりたい。
お伽話の英雄のように
冒険者見習いの少年と、残念美少女の神様が紡ぎ出す、眷族の物語(ファミリア・ミィス)
これを読んでいる間中、逃げるな、諦めるな、頑張れオトコノコ!と、ずっと願い続けてました。
数奇な巡り合せで憧れの女性・アイズに稽古をつけてもらい、急速に強くなっていく主人公・ベルに、女神フレイヤの新たな策が仕掛けられ、因縁の怪物を相手に己の可能性の壁を越えていく姿に魅せられました。
冒険者として初めての"冒険"を経て、英雄への第一歩を踏み出していく少年の輝きが眩しかったです。
最強の剣姫アイズに二人っきりで特訓をつけてもらうことになったベル君ですが、ひたすらフルボッコにされるという男としては少々みっともない姿を晒しつつも、時折、甘い雰囲気になったりする光景が微笑ましい。
日々、着実に強くなっていっているにも関わらず、遥かな高みにいる存在と間近に接して、否応なしに格の違いを思い知らされ、レベル差という壁のぶ厚さに歯痒さを募らせるベル君の焦りがなんとももどかしいです。
レベルを上げる【ランクアップ】をするには他人には真似できない偉業を達成しなくてはならなくて、『冒険者は冒険してはならない』という鉄則と相反するそのジレンマに悩み苦しむのも今回の重要なポイントでした。
しかし、運命は彼の覚悟を待ってはくれなくて、フレイヤによって仕組まれた試練が容赦なくベルを襲い、恐怖を前に戦うのか、それとも逃げるのか、怯えながらもトラウマと向き合っていく姿に感銘を受けました。
一流の熟練者ですら引き込まれる戦いぶりで見事な大金星を飾ったベル君の雄姿に見惚れました。
自分の弱さを認めながらも、強くなろうと一途にもがき、恋するピュアな少年を応援せずにはいられません。
人の数だけ冒険はある。どこにでもあるものじゃない、これから紡いでいくベルだけの冒険を見守りたいですね。それはそうとヘスティアが子供を心配するお母さんになってきたんだけれど、もっとラブラブさせようぜ。