魔遁のアプリと青炎剣(アウローラ) (2) (電撃文庫) 天鴉蒼 ねりま アスキー・メディアワークス 2013-05-10 by G-Tools |
鳰の街に鐘の音が鳴り響く。それは、ユマの父が遺した極秘研究データ『エリアス・ライラの遺産』が10年もの眠りから目覚める予兆だった。封印されていた遺産を巡って不穏な動きを見せる人権団体「ホワイトドーン」。それぞれの思惑が交差する中で迎えた四季競技祭。橋が爆破され、街から孤立した学園島で壮絶なバトルが
街を照らす希望の光
様々なアプリを駆使してランクを競い合う、異能を持つ少年少女たちの近未来ガジェットアクション。
あ、あれ? なんかいろいろ謎が解明されたし事件も片がついて完結ムードだけれど、これで終わり???
高天原学園の体育祭・サマーオリンピアを襲った人権団体「ホワイトドーン」の威盗人たちを相手に、青龍院と白虎院の垣根を越えて主人公・拓真たち学生が団結し、学園を取り戻すために立ち上がる姿が燃えました。
旧文明崩壊の理由、10年前の父親の死、そしてアプリとは、次々と明かされる真実に引きこまれました。
拓真とユマと彩華の三角関係が可愛らしくてずっと眺めていたいですね。ヒロインたちは、それとなく好意を向けてるのに、拓真は父親の死の真相を突き止めるために必死で気づきもしない朴念仁ぶりが呆れます。
極秘情報を賭けてサマーオリンピアに出場したものの、EXランカーの数で劣る青龍院は、団体戦では苦戦を強いられてしまうのですが、一発逆転を狙って持てるアプリを駆使して試行錯誤する駆け引きが面白いです。
体育祭も平穏無事に終わるかと思えば、謎の集団が学園を占拠して、ユマの父親の遺産を横取りされてしまい、さらに頼りのEXアプリまで使えなくなり、アウローラという相棒を失って失意に暮れる拓真の姿が切ない。
互いの父親が犠牲となって救った街を再び守るため、タッグを組んだ拓真とライバルである菊之進、そして特別な力を持った者の責務として、違法者に対して反撃を開始する学園の生徒たちの光景に胸が熱くなります。
伏線回収やストーリーはそれなりいにまとまっていましたけれど、どうにも駆け足で消化した感があるな。
本来なら、もっと舞台の世界観を広げて、登場人物も戦わせたり動き回らせて徐々にヒントを散りばめつつ、もっと事件のスケールを広げてから解答編をすべきなのに、話の膨らまし方が小さくなってしまったな。
設定や世界観は斬新なんだけれど、活かしきれなかったのが残念ですね。次回作に期待しましょう。