ダフロン

2013年05月01日

月花の歌姫と魔技の王 V/翅田大介

4798605999月花の歌姫と魔技の王III (HJ文庫)
翅田大介 大場陽炎
ホビージャパン 2013-04-27

by G-Tools

いつも通りにイルゼシュタイン城を訪れるライルだったが、イルザの策略にはまり、半ば攫われるような形で王家のプライヴェートビーチがある行楽地・へクセンブルグに連れ出されてしまう。最後の魔女・エルルーア所縁の地でもあるというヘクセンブルグでライルはエルルーアの最初の工房を発見する。

 正しく人間として生きるために

 技術革命を起こした「最後の魔女」の弟子である少年が創る魔法と科学の未来を描くファンタジー。

 小さいおっぱい組と大きいおっぱい組にハッキリとわかれているが、乳に貴賎はないのじゃよ……。
 夏の長期休暇を期に、イルザに連れられ避暑地へクセンブルグへとやってきたライルが、密かに行われている陰謀や変わり者の妖精に出くわして、またしても首を突っ込むお人好しっぷりが小気味いい。
 美しいだけでない内なる魅力を秘めたヒロインたちの眩しさが弾けてました。水着回は最高だぜ!

 イルザとツェツィーリアの主従組もお互いに信頼しあっていて、強いけれどちょっと抜けている姉と、しっかり者で小悪魔な妹といったような、公私ともに仲の良い姉妹のような姿が微笑ましい。
 凛々しくて勇ましいのにライルに無視されるのだけは極度に怖がりなマリーアが可愛いですね。儚げで脆そうなルーナリアも負けず嫌いで一度決めたら頑固なところが逞しくて見惚れてしまいます。

 ライルの師匠エルルーアの発明を密かに引き継いでいたベルグマンは、どうみても兵器になりそうな発明品を開発してるんだもん、怪しさ爆発でしたよ。予想以上に小物のくせに偉そうな姿がアイタタ。
 技術と軍事力を増して日進月歩で進歩していく人間に対して、いまだに旧来のやり方や掟に縛られている幻想種の平和ボケが哀れですね。その油断が招いてしまった悲惨な犠牲には胸が痛みました。

 人間と幻想種の確執がどんどん深まっていて、両者の争いを影から後押ししている黒幕の存在が憎らしい。両者が接触する度に悲劇が生まれて、恨みと憎しみが積み重なっていくのがもどかしいですね。
 ライルにはこのおぞましい連鎖を断ち切って欲しい。頭いいんだし財力や権力の後ろ盾もあるだから、とっととやってよー。ライルが二つの種族に和解をもたらすか、それとも女に刺される方が早いか、さて?

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | HJ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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