ダフロン

2013年04月29日

ロンリー・マイセルフ・サーガ 1/深山ユーキ

4906866131ロンリー・マイセルフ・サーガ 1 (オーバーラップ文庫)
深山ユーキ 一葉モカ
オーバーラップ 2013-04-24

by G-Tools

“神成りの儀"を無事成功させた八坂信輝は念願の神の力を手に入れたはずだった――だが、よくよく聞くと神は人々から信仰されないと、この世から消滅してしまうらしい。信仰を得るには地道に人の願いを叶え続けなければならない。しかも、十年ぶりに再会した妹・八坂命が神殺しになっていて

bashingtag.jpg


 "神"になった少年と"神殺し"になった少女のこの国で最も新しい神話。

 ラノベネタのパロディやメタ発言の嵐は止めてよー。もう流行らないですから。一発ギャグがウケるのは最初の1、2年だけなんですって、それも超有名作が何作も出た後ではな。例えば、主人公がラノベ作家を目指しているとか、サブカル産業に関連したストーリーであるとかで、流れとしてネタを差し込んでくるならいいんだけど、この作品、別にそっち方面のストーリーじゃないでしょ。場違い感が痛々しいんですよ。

 中二病の主人公の信輝と、彼にべた惚れな幼馴染の鈴や、ブラコン気味な従妹の命の三角関係なんかは、どこのギャルゲかって思うけれど、そこはいいよ。そういうベタな王道アタイ嫌いじゃないわ!
 鈴に毎日朝飯作ってもらってて、命が寝床に忍び込んでくるのもニヤニヤが止まらないよ。ただしテメーはダメだ!なヒロインが一人いるけれど、ウザカワキャラってのはそういうものだし文句はない。

 しかし、この作品の肝である、神と神殺しの対決が結局先送りってのがまったく読者を失望させるよ。神として人々の願いを叶えなくては消滅してしまう主人公と、神を殺さなければ消滅してしまうヒロインという、両極端で相反するジレンマを作り出し、さてどう落としドコロをつけるのかと期待してたのに、この結末はないわー。こんなの夢オチと変わらないですよ。問題の解決方法としては「下の下」です。

 神殺しにしてもなー、神様に人間味を与えちゃダメだったんじゃないか。命のキャラが神様であれば誰でも斬殺するサイコさんみたいだし、せめて悪神や邪神オンリーとか、霊力を奪うくらいにしておくとか。
 もしくは神様を自然崇拝や偶像崇拝により神格を得た人格意識を持たない無機質で無慈悲なシステムかモンスターみたいな設定にしておけば、命の側にも情状酌量の余地が生まれたかもしれん。

 私が予想していた結末は、信輝が神の力で命の神殺しに手を貸して、「すべての神を殺し尽くしたら、最後にお前の手で殺されてやるよ」ってなれば、それなりにハッピーエンドかなと思ってたんだが。
 問題あるとすれば、この作品、悪役がいないのがな。わかりやすい敵役の神でもいればいいんだけれど、淡々と続いてしまいメリハリがない。なんだろなープロットの段階でもうちょい工夫できるでしょ。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | オーバーラップ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック