レンタルマギカ 未来の魔法使い (角川スニーカー文庫) 三田 誠 pako 角川書店(角川グループパブリッシング) 2013-03-30 by G-Tools |
大魔術決闘から二年。新人を迎え、忙しい日々を送る〈アストラル〉。そこに舞い込んだ小さな依頼が、予想外の波紋を呼ぶ――各地に散らばる登場人物のエピソードを交えて描かれる、最後の貸し出し魔法使い!
魔術師の夢は終らない
東洋と西洋の魔術が交錯するハイブリットマジカルアクション。完結編。
魔法って、すごい。そう思わせてくれる大作でした。良い夢を見させてくれてありがとうございました。
世界中の魔術師が注目した大魔術決闘から二年後、魔術結社アストラルの新人・セリムが、初めての依頼を通じて波乱に巻き込まれ、騒動の渦中でアストラルの一員となっていく光景が微笑ましかった。
困難を乗り越えて一層成長していたアストラル社員たちのそれぞれの姿が誇らしくなりましたね。
でたらめで常識外れなアストラルの社風が理解不能な新人・セリムくんの戸惑い初々しい。ひょっとしたら二年前の大魔術決闘で<螺旋なる蛇>の勝利を自分が望んでいたのではないかと思い悩んで、他の先輩とも馴染めずにいる様子がもどかしい。けれど、そんな彼の胸を内を理解した上で温かく見守る先輩たちの態度がとても大人びていて、アストラルという会社の懐の深さを感じさせました。
滅ぼしたはずの<螺旋なる蛇>の残党による復讐を受けるアストラルですが、幼かったみかんやラピスも二年間で力を上げていて、冷静に奇襲に立ち向かい打開策を講じる彼女たちが眩しかった。
それまで自分が偏見で相手を見ていたことに気づいたセリムくんが、自分にできることはなんなのか、やるべきことはなんなのかを見極めて、迷いながらも進んでいく姿はかつてのいつきを思わせました。
シリーズの最終巻というか、本当に後日談でしたね。前巻が綺麗に終わっているだけに、余計な蛇足なんじゃないかと読む前には危惧しましたが、登場人物たちの成長ぶりが垣間見れたし、<螺旋なる蛇>にも救いがあったし、いつきが目指した未来が実現しようとしている一端が感じられたので、これはこれでよかったんじゃないかな。『クロス×レガリア』にどう影響してるのかを考察するにも一興かと。