聖剣の刀鍛冶15 (MF文庫J) 三浦 勇雄 屡那 メディアファクトリー 2013-03-22 by G-Tools |
大陸の心臓“ヴァルバニル”が、遂に火山の頂に威容を現す。高濃度の霊体を吐く一撃で新たな“爪痕”を穿ち、触手で敵味方なく戦士たちを奈落に引きずり込む巨竜に為す術のないセシリーたち。一方シーグフリードは大量の魔剣を投じ、ある“作戦”をはじめようとしていた―。
必ずまた会おう
すべてを守りたいと願う女騎士が、気合とド根性で成長していく熱血ファンタジー。
みんな頑張った。セシリーとルークだけでなく、登場人物全員が欠けてはならない主人公でした。
蘇ってしまった魔王ヴァルバニルを前にして、それでもなお諦めずに力を合わせて立ち上がるセシリーとルーク、数多くの名も無き人間たちの世界の存亡を賭けた最終決戦に魂が震えました。
タイトルの『聖剣の刀鍛冶』が指すのが、まさかあの人物だったとは……予想できてたもん。
封印に失敗し、ヴァルバニルが復活してしまっても、決してくじけないセシリーのメンタルがすごい。
生き残った都市騎士団たちも、団長やレジナルドの元に集まって、セシリーが戦ってるのに自分たちが逃げるわけにはいかないと、強大な相手に反撃の作戦を練り始める男たちの不屈の闘志に燃えます。
何より自分の伴侶を信じて正面の敵に向かっていくルークとセシリーの愛と信頼の絆が素晴らしい。
魔剣の力でヴァルバニルを操ろうとするジークフリートに一騎打ちを挑むルーク、飲み込まれたリサを助けにヴァルバニルの体内に飛び込むセシリー、まったく無鉄砲なところがよく似た夫婦だ!
実験を実証するためだけに災厄を振りまこうとするジークフリートの思想は最後まで理解できなかったなぁ。もっと他に人の役に立つことで自分の存在理由を見いだせなかったのかと悔しくてならない。
人類の力を結集した総攻撃とセシリーとルークの愛のコンビネーションでもぎ取った勝利は感無量ですが、後日談は駆け足でちょっと物足りなかった。都市の復興や新婚生活の光景も見てみたかった。
番外編がまだあるようなので、後日談はそっちに期待かなぁ。ところで、あとがきの表紙絵の話。無理にこじつけなくても着替えても良かったんじゃね。いや、これはこれで格好良いですけども。