世界平和は一家団欒のあとに 橋本 和也 メディアワークス 2007-02 by G-Tools |
【星弓家の兄弟姉妹はみんな特殊な力を持っている。世界の危機を救う星のもとに生まれてきた星弓家の長男・軋人は、ある日、自らと世界と妹の三つの危機に直面するが・・・】
世界を救うなんてアホなことは、俺と、俺の家族を救ったあとですればいい。
お兄ちゃんは、つらいよ
『正義の味方』であることを運命づけられたひとつの家族の絆をめぐるドタバタ&アットホームコメディです。
設定からしてブッ飛んでいて家族全員が最強ヒーローなんだけれど、バトルはまったくなくてほのぼの、しんみりきます。
「世界平和なんかよりも家族のほうが大切!」って断言してしまえる、軋人のお兄ちゃんっぷりが燃えます。
弟のため、妹のため、兄貴としてなけなしの威厳を保つために過去の古傷を抑えて奮闘する軋人の姿に共感。
私も兄弟の長男なので、彼の行動理念に「そうなんだよなぁ」と思わず頷いてしまう部分が多かったです。
兄弟のいる人はわかってくれると思いますが、お兄ちゃんってのは、少しばかり無理をしてでも格好つけないとサマにならんのですよ。弟や妹に頼られなくなると妙に寂しいものです。
一応、ツンデレっぽい少女に本命フラグを立ててるけれど、
なんだか彼女の存在をしょっちゅう忘れてるような・・・。
最初は彼女のボディガードをしていたのが、途中で家族の問題が持ち上がって、最後は世界平和より妹を選んじゃった!
なんというか真のヒロインは妹の美智乃だったということで。
お兄ちゃんに銃を突きつける妹萌え。
軋人と美智乃を始め、星弓家の人々が温かくて素敵です。
元勇者のパパと元王女のママの会話が下らなくて楽しい。
とくに人類最強なエキセントリックなお姉さんがよかった。
ふざけてるしいい加減だけど、誰より格好よくて頼りになって、それでもポツリと弱音を見せるところがまた切ない。
スケールはいくらでも大きくできるのに、あえて「家族愛」一本に的をしぼった作者の作戦勝ちでしょうか。素直に面白い。
続編や新シリーズがあるなら期待します応援します。
読んでよかったー。