スプライトシュピーゲル 1 (1) 冲方 丁 富士見書房 2007-01 by G-Tools |
【「ご奉仕させて頂きますわよ─!」国際都市ミリオポリスを舞台に、公安高機動隊「MSS」の妖精たる3人の少女たち「紫火」「青火」「黄火」が、爆炎舞い踊る空を翔け抜ける!】
俺もそのFカップで泣かせて!
テロの脅威から機械の手足と羽で街を守る少女たちの物語。
昆虫を模した光の羽と戦闘用義肢<特甲>を装着し、テロに対抗する「紫火」「青火」「黄火」の3人の少女のSFアクション。
『オイレンシュピーゲル』と世界観を同じくするこの作品。
今度は対兵器ということでスケールが大きくなっています。
母性溢れる鳳、生意気で寂しがり屋の乙、周囲に怯える雛。
それぞれキャラ立ちさせた口癖が大変よろしい。
まったく救い容赦ない『オイレン』に比べ、『スプライト』もやはり救われない物語なのだけれど、キャラ作りは正反対ですね。
ブラックユーモアに突き抜けた狂犬と、純真無垢な妖精の違い=貧乳と巨乳の格差─Aカップは武器/Fカップは兵器。
こちらも全6話からなる短編で彼女らの生い立ちとテロリストとの抗争を描いていきますが、一話一話の完成度が高い。
とくに弱者に救いの手を差し延べる鳳の優しさと温もりを感じる『シティ・オブ・フェアリーテール』が切なくて秀逸でした。
私としては『スプライト』の方が物語に深みがあって好みです
若干、『オイレン』のキャラクターも登場してきますが、見比べてみると『スプライト』側からは誰も出張ってないんですね。
"蜘蛛の巣フランツ"がヘルガさんに情報を貢いでるところから『オイレン』との話の前後が読み取れますね。
両方読むつもりなら、ある程度の伏線のあった『オイレン』を先に読むのをオススメ。でも、メインは『スプライト』。
灰村キヨタカの絵の中ではP187の涙目の雛がよかった。
思わず心の中で( ゚∀゚)o彡゜パンツ!パンツ!と喝采を。