108年目の初恋。 末永 外徒 とりしも エンターブレイン 2007-01-29 by G-Tools |
【もう使われない旧校舎。それを探検に来た少年を、「私」はワクワクと見守っていた。けれど危険な場所に踏み込む彼を、咄嗟に助けてしまった時、108年で初めてのその物語は始まった】
この春、私はついに『旧校舎』になった。
これはいい「中学生日記」
108歳の旧校舎と12歳の少年のラブストーリーです。
長い年月によって付喪神となった旧校舎の少女コウと、
好奇心から旧校舎に忍び込んだことで、彼女の存在を知ってしまった新入生・新が、お互いに惹かれあい様々な青春模様を描いていく正統派ピュアラブファンタジーです。
個人的にホラーハウスの旧校舎で長い間、生徒を見守ってきたわりに性格がスレていない普通の女の子したコウよりも、
金髪で、副会長で魔女というツボな設定のリアンが好み。
最初はリアンと新と夕子の三角関係をコウがどうにかするのかなぁと思っていたんですが、メインヒロインでした。
後半、リアンがネタキャラとしか扱われていないのがう〜む。
問題なのが、コウの初恋の相手である新が、厨でウザい。
バカ正直といえばいいが、発想は短慮、性格は無神経。
旧校舎にこだわるのも、『幽霊の河野さん』を信じるのも、リアンへの反感からガキっぽい駄々をこねているようにしか・・・。
こいつが思慮の浅い行動に出るたび、何度本を床に叩きつけようと思ったかわかりません。最後までよく耐えたよ俺。
「初々しい」というわりに素直でも、物分りがいいでもない。
幼稚なキャラの言動を理解しようとするのは読んでて辛い。
私がコウで、こんな粘着で厚かましいキモガキに毎日毎日言い寄られてたら、発作的に呪い殺してるかもわからんね。
なんというか私とは相性が最悪で許容できませんでした。
第一、コウの初恋はどうみても琢磨さんじゃないッスか?
弟がガキっぽい分、琢磨さんの大人の魅力にメロメロです。
コウを苛めていた過去の罪を消し去る言葉が胸に沁みます。
私の理想のエンドは、琢磨とコウが和解して付き合い始め、
失恋してちょっと成長した新を夕子が拾う、だったんですが。
この作品で一番男らしくて潔かった夕子が、何らかのカタチで報われるようなオチが欲しかったですねぇ。
まあ他のところでは「素敵な物語」、「とっても微笑ましい」といった非常に好意的な評価が並んでるんで、たぶん一般評価としてはそっちの方が正しいです。
買おうか買うまいか悩んでる人は、この批評は無視推奨。
何となくですけど、思春期に突入した甥とかを見ているような気持ちで読んでましたね。
私の場合はその為に不快感が湧かなかったのかも知れませんねえ・・・。
なんていうか新ってキャラは自分の中に「恥」をもってないんですよ。
つまらない意地を張ってあやうく大怪我をするところだったのに、自分の非をまったく自覚していない。
人の忠告はまともに聞かない。筋の通った主張ひとつ言えない。
男主人公って読者が真っ先に感情移入しようとする相手じゃないですか、そこにそんな理解し難い奴を置かれたら話に入りにくいですよ。
他の登場人物は問題ないんですがね。