![]() | 僕たちのパラドクス―Acacia2279 厚木 隼 富士見書房 2007-01 by G-Tools |
【タイムマシンが普及している23世紀。時空犯罪を取り締まる時空監査法院の時空監査員ハルナ・キリシマは、2006年に居座っている時空犯罪人の処断を命じられるが・・・】
美少女シュワちゃんw
未来の時空犯罪を取り締まる時空監査法院からやってきた美少女エージェントと現代のヘタレ高校生のパラドクスミステリ。
任務を終えたハルナと偶然その場にいた青葉が遭遇した後、何らかの要因によるパラドクスで未来が消滅してしまう。
二人はその原因を探り、未来を取り戻すために奔走する。
このミステリやってんのか、ラブコメやってんのかわからないクオリティ。これが俺らの富士ミスだよな。うんうん。
ハルナの超人っぷりは、どうみても『ターミネーター』だなぁ。
強くてバカで元気印のハルナは私も可愛いと思うけれど、
ハルナに見惚れてばかりいる青葉がちょっとしつこいな。
某未来少女なんて必死に「禁則事項」の一点張りで頑張っているというのに、未来に影響がないとしても一般人にベラベラと何でも喋ってしまうこの軽薄さは好きになれないかも・・・。
青葉にしても平凡すぎるキャラがどうにも味気ない。
重大なタイムパラドクスで未来が丸ごと消滅したというのに、
女の子とのデートを普通に楽しんでしまってるし。
まあ可愛い女の子より重要なものはこの世にはないので、
私が同じ立場でもこのまま満喫してると思いますが、
現代人だから未来の緊急事態なんて実感がない、みたいな、
この緊張感のなさをフォローする部分があってもよかった。
一般的なタイムパラドクスの通説や定義は順守しているし、
アクションを交えてのハイテンポな展開は読みやすかった。
パラドクスの原因は始めのうちから、おおよそ推理できたものの、ガートラント指数とやらがネックだったんだよぁ。
種明かしは、かなり単純で工エェ(´д`)ェエ工でしたが。
最初の現場に侵入できたのは当該時代人だからじゃないとしても、将来の歴史的偉人を監視も護衛もつけずに放置してるってのは、常識的に考えておかしい。
ラストでハルナが未来に帰還せず、ずっと現代に残っていられるのも、新しく彼の護衛任務でも受けたんでしょうか。
そうした状況解説や背景説明が雑というか、見切り発進の結果オーライで大雑把なのが、今後の作者の改善点かな。
とはいえ、昨日読んだ『シャーロット』よりは、読み手を選ばずに気軽にオススメできる作品です。けっして悪くはない。
楽しめれば他は気にしないって方は手に取ってみては?