![]() | 麗しのシャーロットに捧ぐ―ヴァーテックテイルズ 尾関 修一 富士見書房 2007-01 by G-Tools |
【メイドのシャーロットは、日増しに募る主人メーネルトへの想いを抑えきれなかった。しかし彼は、妻ミリアムを溺愛していた。ある日、シャーロットはミリアムが人形だと気づいてしまい・・・】
「月は優しいから好き。
でも月よりもルシアラ姉様の方が好き──」
「ラヴィ・・・・・・」
恐怖と狂気の連鎖
ある屋敷で起こった三つの怪事件を綴る連作ゴシックホラー。
魂依り人形、骸魔術、残された手記、そして悪魔に操られた人々が三つの時代にまたがって繰り広げる愛憎の物語。
口絵だけみればメイド、ズーレー、変態男焼死wなのに!
迂闊だった!なんで富士ミスなのにミステリーやってんだよ!
キャラ小説ではないのですが、しいて挙げるとするならば、
表紙のメイド・シャーロット・フェリエ嬢よりも、姉妹同士で睦み合っちゃったりするお嬢様、ルシアラ姉様がツボです。
月下の暗闇で幼い妹の胸元に口唇を・・・・・・'`ァ'`ァ('A`)'`ァ'`ァ
あまりにも耽美で淫猥すぎる微エロス。グレイトジョブ!
短編三話を高度に連携させた構成力に脱帽。
最初の事件が、次の話の伏線となり、誤った情報が登場人物を惑わして、さらなる狂気に満ちた事件へと繋がっていく。
真相の一端が明かされていく度に、複雑化する人間模様。
そして薄暗い洋館に漂う不気味な雰囲気が、読者に恐怖と狂気の連鎖の世界へと引き込んでいきます。
どこまでがミスリードなのか、最後まで読んでも納得できない部分はあるものの、読み応えのある重厚感なミステリです。
完成度は高いのは認めますが、単純に面白かったかと訊かれると、正直他人にはオススメしないだろうタイプかな・・・。
まあハッピーエンド主義者の私好みではなかったというだけで、本格派を愛する皆様には価値のある一品ではないかと。