ダフロン

2013年02月14日

塔京ソウルウィザーズ/愛染猫太郎

404891331X塔京ソウルウィザーズ (電撃文庫)
愛染猫太郎 小幡怜央(スクウェア・エニックス)
アスキー・メディアワークス 2013-02-09

by G-Tools

ここは「塔京」。ソウル・ウィザーズが集いし魔法の都。自分の魂を改造し、死者のソウルを消費し『奇跡』を起こす者達をソウル・ウィザードという。黒乃一将は、『自由騎士』として、自身の守護霊である不死の魔犬ブリュンヒルデと共に「児雷也」討伐クエストの任務に就く。

 魂を喰らいて、神の頂を目指せ

 動物霊専門の魔術師の少年が使い魔たちと神の頂を目指す、オカルティック・アクションファンタジー

 これは魂が震えて、奮えた! おぞましくも妖しく眩しい世界観に魅せられます。
 死者の魂を消費して魔法を使うソウル・ウィザードの主人公・黒乃一将が、使い魔の少女たちともに犯罪魔術師との死闘を経て、新たな主従関係の絆を結び、さらなる高みを目指す光景が胸を打ちました。
 作り込まれた魂と魔術の設定と、作品内に漂う場面の不気味な雰囲気にくらくらしました。

 時計塔学園の12派閥に属する魔術師達が貴族として大都市・塔京を支配していて、そこでは人間の魂すらもデータとして改造が可能で、人々はファッション感覚で霊を憑依させたり、ペットとして飼っていたり、そうした魂を基盤とした経済活動が循環している、ぶっちゃけグロキモくて、おどろおどろしい世界なのだけれど、様々な分野が現実にはない発展を遂げていて、夢があるんですよね。

 元は普通の犬だったヒルダが、使い魔として過ごすうちに人間にも劣らない知性を身につけて、主人への愛から人間の少女になって、彼を支える存在に生まれ変わるところなんてロマンスじゃないかよ。
 魂改造手術の失敗で使い魔となってしまった真央も、殺伐とした魔術師の生活の変化に戸惑いながら、家族として受け入れてくれた一将のために弟子として成長して強敵に一矢報いる展開も熱かった!

 黒乃一将も嫌いではないんですが、主人公が霞むほどにヒロインのキャラが強いのが悪いですよ!
 一将のライバルであるはずの水樹瑠璃が最後までモブだったのがちょっと勿体無かったですね。いいツンデレちゃんだったのに。続編はちゃんと真央とヒルダたちの一将争奪戦に絡んできて欲しいなぁ。
 電撃大賞の最高傑作は、大賞や金賞ではなく、銀賞にこそ登場するという私の仮説をまた証明してしまったか……。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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