 | ポチのウィニングショット 葛西 伸哉 JH ソフトバンククリエイティブ 2007-01-12 by G-Tools |
【犬塚星子は、たまたま観戦したスフィアボールの試合で活躍してた選手に一目惚れした。彼を追いかけてスフィアボールを始めた星子だが、彼は試合にしか興味のないスポーツ馬鹿で･･･】
「本気で努力すればするほど、人間って諦めが悪くなるんじゃない？ 本当に頑張ったって思ってるなら、そんなにあっさり納得なんてできないと思うよ、あたしは。あんたの恋は、あんただけのものなんだからさ」
恋という名のボールを追え！
子犬系少女の恋と汗と涙の熱血スポ根モノです。
球体の仮想フィールド上で相手のゴール目がけてボールを打ち合う近未来のヴァーチャル球技、スフィアボール。
最初は憧れの先輩に振り向いてもらうためだったのが、練習を重ねるうちに、その楽しさにハマっていくといったストーリー
シンプルなのにルールがよく練られてます。これは面白そう。
初めのうちは先輩目当てで、どこかダラダラとやっていて、
ヘタなラブコメを読まされているようでムカムカしましたが、
スポーツ馬鹿で朴念仁な先輩にまったく相手にされなくて、
完膚なきまでに打ちのめされてから、再びスフィアボールと真剣に向き合うようになった後の急成長ぶりが盛り上がります。
一番燃えたのは、チャンピオンとの試合ですね。
総合力では完全に上を行く強敵に、技術や作戦を無視して、
体力まかせの超攻撃型プレイスタイルひとつで立ち向かう。
華麗な技を魅せつける相手に怯まず、チビな身体で走り回り
果敢に攻めていくポチの姿に燃えないわけにはいかない。
ただクライマックスの黒崎先輩との決勝戦は、ちょっと萎え。
そこまで「スフィアボールは楽しい！」ってテンションで勝ち上がってきて、何故そこでモチベーションが下がるんだろう。
試合放棄なんて、それこそ先輩に嫌われるのはわかってるだろうに。浮き沈みの激しいポチについての余計な描写かな。
話を読んでる側としても興奮に水をさされたようで、妙にひっかかりを感じましたね。
スポーツや恋に一直線に突っ走っているキャラたちの一途な思いや戸惑いがダイレクトに描かれていてよかったです。
基本の設定もガッチリ固めてあるので、スフィアボールという未来の競技の魅力がしっかり伝わってきます。
これでダブルスルールとかもあるともっと面白いですねぇ。
