シャギードッグ 天使の序章 七尾 あきら 宮城 ソフトバンククリエイティブ 2007-01-12 by G-Tools |
【バイト中の大介の目の前で男が自殺した。男に銃を渡した美少女は何故か周囲には認識されなかった。追いつめた大介から、あっさり逃げた美少女「オズ」は、ある日、大介のクラスに転入してきた…男として】
超高濃度サイバーパンク!
脳にインストールした格闘プログラムを起動することで、
硬気功、軽気功、遠当てといった武術の達人へと変身するが
性格はいたってお気楽でお人好しの少年と強制洗脳能力を持つ美少女が出会ったことから始まる近未来SFアクション。
格闘者や異能者たちが蠢く世界観が濃い。これはツボった!
生まれつき持った他人の意識や記憶を書き換える能力故に、
それまで非社会的、排他的に生きてきて、まともに人間と向き合ってこなかったオズが、なぜか自分の能力が効きにくい大介に出会い、彼と組んで仕事をするうちに刺激を受けて、
次第に人間性を身につけていく過程がよかったです。
強くなるために体を鍛えているのに、いつも逃げてしまったり
自分を殺そうとした相手にトドメを刺させずに葛藤する大介が危なっかしくてハラハラしますが、特殊な家の事情や過去に負ったトラウマの深さ、戦いを拒む理由が明かされるにつれ、
このフヌケた性格もしょうがないのかなと思ってしまいます。
積極的につきまとってくる見知らぬ幼馴染・まりんとの絡みは、必死に日常を遠ざけて守ろうとする大介の姿が切なくて、
この二人だけ甘酸っぱい青春分がたっぷりでGJです。
オズを含んだ三角関係のようなものは見られなかったけど、
それ以上に、この三人の一体感というか、お互いに受け入れ合っている光景に調和があり、それが美しくて壊したくない。
物語自体は、それぞれの動機から襲いかかってくる狂った殺戮者や凶悪な超能力者と戦いながら、予見された己の運命を知っていく、といったハードサスペンス調の玄人好みのSF。
日本が崩壊した<日本震災>の経緯やオズの過去、大介に脳内導入された違法プログラムの謎などを散りばめて次回へ。
濃縮されたキャラとシナリオが凄い。はやく続きが読みたい。
あと一言いっておきたいのは、アブドーチャ中村はツンデr