ダフロン

2013年01月15日

煉獄姫 六幕/藤原祐

404891300X煉獄姫 六幕 (電撃文庫)
藤原祐 kaya8
アスキー・メディアワークス 2013-01-10

by G-Tools

完全なる存在となったユヴィオールは玉座にあって、瑩国をその手に掴むべく動き始めた。幽閉されたアルトが恐怖に耐えながら助けを待つ中、すべてを喪ったフォグはキリエの介抱によって目覚める。絶望的な状況にあって決死の覚悟で城へ突入しようとしたふたりに、ひと筋のか細い糸が垂らされる。

 神なき煉獄に光を

生まれつき異界の毒気を纏う王女と彼女に付き従う少年が戦いに身を投じていく異世界ファンタジー。

 ユヴィオールの陰謀によって瑩国が支配されようとするなか、自分たち人造人間作った父・ローレンの本当の目的を知ったフォグたちが、新たな力を得て、過ちを正しに立ち上がる姿に奮い立ちました。
 絶望の中でも諦めず、それぞれが残された希望をかき集めて、邪悪を打ち倒す光景にシビレます。

 禁術に手を染めた犯罪者でありながら、純真さと誠実さを感じるローレンのキャラは意外でした。人でなしと思われていたのに、実に人間味ある人でフォグやキリエが父の愛情に戸惑う姿が微笑ましい。
 囚われの身でありながらも、ユヴィオールに対して一歩も引かないイオとアルトの毅然とした態度も凛々しかった。イオとアルトの結びつきも、フォグとアルトの絆の強さに勝るとも劣らず圧倒されます。

 父ローレンの遺した新たな力を得て、まずは逆転のための一手として、やり遂げてみせたアルト救出 劇は鮮やかでした。逆転要素を見出して起死回生を図る展開ってのは無性に盛り上がりますね。
 カルブルック、アイリスやキリエの支援を受けながら、ユヴィオール&ティ・キとフォグ&アルトのタッグ・マッチは、苛烈、壮絶で、煉術を駆使した駆け引き、超人同士の奇想天外な戦いぶりは圧巻でした。

 ユヴィオールのやったことは許されないけれど、そこまで追い詰めてしまったのは人間たちで、フォグももしかしたら彼のようになっていたかと思うと、彼にもアルトのような存在がいればよかったのにと思う。
 フォグとアルトが幸せな結末を掴み取れたことは喜ばしいけれど、そこに至るまでの犠牲が痛々しかった。そうした傷跡を癒していくまでにも、また物語があるんだろうけど、この物語は割り切って次回作に期待

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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